蝶の姿【爆豪勝己】序章 (ページ15)

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名前ページ15

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「奪わないで！私の大切な仲間を傷つけないで！」

　ツギハギの男が気絶させられてから蝶蘭は豹変した。

いつもの穏やかな微笑みは消え、怒りと困惑と

絶望を顔に貼り付けて叫んだ。

　その途端、アイツから治療の時とは比べものにならない

量の蝶が勢いよく飛び出してきた。蝶たちはいつもの光り輝く

美しい姿ではなく、真っ黒で不気味な姿だ。

　これは猛毒を持つ蝶だと、本能的に悟った

ヒーロー達も

「何なんだこれは！」

「こんな個性のやつ、聞いてないぞ！」

と動揺の色を見せた。

「辞めてよ…私は…ただ…。」

　アイツはブツブツと光のない瞳で何かを言っている。

「嫌よっ…！ココから消えて！あっちに行って！！」

　怒りに満ちた顔で叫ぶと蝶が一斉に

ヒーロー達に襲いかかった。鱗粉がヒーローに

かかるようにあえてヒーローの上を飛び交う奴、

ヒーロー目掛けて突撃する奴、アイツを守るために

側にいる奴…いろんな蝶でバー内部は埋め尽くされた。

　蝶の鱗粉が多くかかったヒーローは手足が痺れ

身体が麻痺し、明らかに動きが鈍くなっている。

　バー内部が混乱に包まれる中、

俺はオールマイトに守られながら全貌を見ていた。

すると、一匹の蝶がこちらに向かってきた。

「爆豪少年、下がって」

　オールマイトはそう言って俺の前に立った。

…待て、この蝶は。

　色も変わっちまっているが、コイツは俺の頭に

止まったヘナヘナ蝶。

　手を伸ばすと蝶は指に留まり

真っ直ぐと俺の顔を見つめた。

　何だ…？何か…聞こえる…？

____助けて…

！？何だ、声？？

____Aを助けて

A？誰だ…？

____僕等に力を与えすぎだ。
　
　 Aが身を滅ぼしてしまう…！

　 Aを…助けて…！

「...」

　俺は蝶蘭…いや、Aの所へと歩き始めた。