第1章 詐欺とはこのこと 2 ページ4
みなさん、どうもこんにちは。
何の説明もなしにブラック本丸に配属されることになったAです。
早速ですが私、もうやりたくない。
「あぁぁぁぁ〜"」
「オッサンみたいな声出さないでください審神者様」
こんのすけから呆れの視線が向けられたのだが、仕方ない。
勇気を出して一歩踏み出してみたこの本丸は、穢れきっていて気持ち悪いし何より辛気臭い。
それに先ほどから視線は感じるものの、どうも刀剣達が姿を現さない。
何故だ、解せぬ。
いったい前任は何をしたのだ、殺気しか向けられてないんですが。
怖い。
「帰っていいですか」
「ダメです」
こんのすけ、私はあなたを恨みます。
ぶつくさぶつくさ文句言いながら、本丸を散策する。
すると、とある一室に近づくにつれ頭の中で警告が鳴り響く気がした。
ダメ。これ以上進んではいけない。
これ以上進んでしまっては……。
なんて思っても足は勝手に動き、ついにその一室にたどり着いてしまう。
「ここが審神者様のお部屋です」
どんよりとした空気が肩にのし掛かる。
嫌な臭い。
犬が子作りするときと似たような、甘酸っぱいような、何とも言えない臭いが嫌に鼻につく。
こんな部屋で暮らさなきゃいけないなんてお断り。
胃の中のもの全て吐き出してしまいたい。
ここにいたくない、気持ち悪い。
フラつく足で、こんのすけから言われた部屋から離れる。
離れるというより、これは拒絶の現れか、後退りが正しい。
こんな気味の悪いところにいたら壊れてしまう。
一刻も早く壊さなくては。
なんて思いながら後ろへと足を進めていると、後ろに何もないと思っていなかったため足を踏み外してしまう。
「わっ、!?」
ボスッ、と何かに支えられた。
ゆっくりと顔を見上げると、青い瞳と目があった。
「君、誰……?」
あなたも誰?
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作者名:月風鞘 | 作成日時:2017年11月20日 20時