ブラック本丸の審神者になりました (ページ11)

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第4章兄弟刀 2 (薬研) ページ11

俺っち達とは違う気配を感じ、一兄達に気づかれぬように部屋を抜け出した。
俺っちは、重傷を負っている刀(だんな)達とは違い、軽傷程度ですんでいたため自由に動き回ることは可能だった。
俺っちの兄弟刀である乱藤四郎が、離れにある一室に放置されているのは最近知った。
いつもではないが様子を見に行ったりはしていた。
その乱藤四郎の近くに先程感じた気配があり、気になって物陰から隠れてみていた。
新しい審神者なのだろうか、重傷である乱藤四郎を必死に手入れをしている。
遠くてよく顔が見えないが、真剣さは伝わってきた。
だからといって信じられるかは別だ。
お礼も兼ねて接近してみることにした。

「なにしてんだアンタ……こんなところで」

不思議そうな顔で俺っちを見つめる審神者は、変わっていると思った。
しばらく俺っちを見つめていた審神者は、俺っちの本体に目が行ったらしくそのまま暫し、固まった。

「や、げん……とうしろ、う？」
「お？俺っちの名前知ってんのか」
「信長様の愛刀？」
「お、おう？」
「なんてこったいパンナコッタ」

訳のわからないことを言い出した審神者は、しばらく現実逃避したあと一人百面相をし始める。
なんなんだ、この人。
とか、思いつつも体は勝手に動くもので無意識のうちに審神者の頭を撫でていた。

「信じた……とまではいかねぇが、俺っちはアンタなら大将でいいと思う……。俺っちの兄弟を治してくれてありがとう」

そう告げれば不思議そうな顔で俺っちを見る審神者……否、大将。
照れくさいのか頬を軽く染め、俺っちに頼み事をしてきた。
乱の礼もあるし俺っちは迷わず、大将の手伝いをすることにした。
主命とあらば……なんてな。