続き ページ8
.
二人して布団に潜る。
少しも隙間が開かないほどに、くっついて眠ろうとするA。
「くっつきすぎじゃない?」
「また勝手に消えないように、気配を感じてないと」
口には決して出さないけれど、Aの言動、行動の全てがいちいち俺のツボに入り、まるで煽られているかのように、俺の欲望を刺激するんだ。
半分無意識なくらいに自然に、Aの上に跨ってキスを何度も落としていた。
「かやしまさ、、」
「あ、ごめん。流石に寝るか」
その場を退こうと力を入れると、胸ぐらを掴まれて引き止められる。
「大丈夫、来てください」
「いいの?夜中だけど」
「いつ何が起きるかわからない。私たちはそれを痛感してるから」
「ふっ、それもそうか」
重なる唇から、触れ合う肌から、互いの熱が伝わる。
規則的に身体を動かすたびに、全てを忘れてしまうような、強烈な快感に支配されていく。
でもどこかで、未来で出会ったAを裏切っているような罪悪感を感じて、それがさらに俺を燃え上がらせた。
事を終えて、隣で静かに眠りにつくA。
相変わらず手は、俺の腕に回されたまま。
この関係が正しいものじゃないことくらい、誰にだってわかる。
だけど誰に咎められようと、罵られようと、Aの手を離すつもりは無いし、俺が全てを諦めないでいられる唯一の存在だから。
歪んだ二人の間にあるのは、甘い恋なんかじゃないけれど、確かに惹かれている俺がいる。
この関係に、名前はまだない。
.
141人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍 | 作成日時:2023年9月21日 0時