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本編80後半辺り 萱島さん目線 ページ7

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この世界は腐ってる。
そんな出来事が重なって、全てに背を向けていた俺の所に、あいつは転がりこんできた。

感情が消え去ったように、ただ縋るように俺を求めてきたあいつを、俺は受け入れた。


強く抱きしめて、温もりを感じている間は、怒りも悲しみも感じなくて済んだから。

それは性の発散か。
目を逸らすように逃げ込んだのか。
なんでもいい、もうなんだっていいんだ。



あいつは眠るとき、俺の腕やら袖やら裾をいつも掴んでいる。

素直に可愛いと感じる反面、未来で俺を救ったみたいに、強かったあいつがいなくなって、この世界の醜さを実感する。
こうも変わるもんなのか、人は。



「、、萱島さん?寝ないの?」

「もう寝るよ、早く寝な」


頭に優しく手を置いて、部屋を出た。
こう言う時に吸いたくなるけど、未来で禁煙に成功したから、何となくそのまま続けていた。


風にあたろうと、ベランダに出る。

都会の夜景は忙しなく光っていて、何となく居心地の悪さを感じる。
それは電気のない暗闇に慣れたからか、
煌めく星の綺麗さを知ってしまったからか、

未来の、あの場所への未練が俺を支配していて、自分で笑ってしまう。


不意に背後で音がして振り向くと、Aの姿があった。


「どした?」

「目開けたらいなかったから、探してました」


本当に、変わったな。
こんな夜の暗闇なんて、向こうでは腐るほどあったのに、一人でいられなくなるなんて。


「寂しいんだ」


無言で伏し目がちに頷く。
素直に認めてしまうくらい、俺を求めていることが、可愛くて胸が高鳴る。
ほんと、俺も単純だ。


「寒いから戻ろ、風邪ひく」


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作者名: | 作成日時:2023年9月21日 0時

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