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「怖い時、嫌なことがあった時、全部言ってよ。俺もAも、人の何倍もしんどいことだらけだったんだから、これ以上抱えなくていいでしょ。その為にお互いがいるんだから、ちゃんと頼れ」
「、、少し、怖かった。少しだけ」
「よく言えました」
ゆっくり頭を撫でられると、だんだんと緊張がほぐれていくのがわかる。
やっぱり、萱島さんだ。
萱島さんが、私の全てだ。
「もう平気、ありがとう」
萱島さんから離れて、お礼を言う。
いつもみたいに、笑ってくれるかと思ったのに、何だか複雑な表情だった。
「萱島さん?」
「あぁ、ごめん。ちょっと待って、今湧き上がる怒りを抑え込んでるから、ごめん」
私の問いかけに、パッと横を向いて、自分を落ち着けているようで、何だか罪悪感を感じてしまう。
「萱島さんにも嫌な思いさせてすいません」
「こういうことは、された方が悪いってことはないの、謝んな。人のもん取ろうとする奴とか、一番腹立つから許せないだけ」
「じゃあ名前書く?」
「アホか、あーいつまで続くんだろ。こんな鬼ごっこみたいな状況」
「本当だよね」
とりあえず触られたところ洗いなさいと促されて、手を洗っていると、後ろから急に抱きしめられた。
「いつ何が起きるかわかんないって、痛いほどわかってるから、こういうの俺の方が怖いわ」
「大丈夫。萱島さんの側からいなくなったりしないから。絶対絶対離れない」
萱島さん、色々なことを乗り越えて、私と一緒にいるようになって、ちゃんと自分の気持ち表に出すようになったなぁ。
彼の変化を感じて、自然の笑顔になっている私がいた。
手を洗い終えると、後ろにいる萱島さんに抱きつく。
「大好き」
「俺もだよ」
未来だって、今だって、萱島さんにずっと安心してほしいから、愛を伝え続けます。
痛くなる程、抱きしめる手に力をこめた。
「きっつ」
「愛の強さと比例してるの」
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作者名:藍 | 作成日時:2023年9月21日 0時