検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:6,415 hit

3 ページ3

.


「話かけたかったのに、いつも萱島さんといるから、こうするしかなくて。あなたに助けてもらった命なんで、やりたいように生きようと思って!」

「あ、あの、家まで来るのは流石に、もう帰ってください」

「僕の気持ちを全部伝えさせて下さい!ネットであなたの顔を見て、ビビッときたんです!そしたらこの世界の救世主で、感動して!」


うわうわ、熱がすごいんですけど、
咄嗟にポケットに入れたスマホを取り出すと、その手の手首辺りをいきなり掴まれた。


「離して下さい!」

「ただもっと会話したいんです!気持ちを聞いて下さい!」

「ちょっとやめてって!」


目に涙が浮かびはじめた。
ああ、もう悔しい!なんなのよ!
強くなったと思ったのに、こんな事で泣くなんて絶対嫌!



突然、掴まれていた感触がなくなり、顔を上げると、怖い顔をした萱島さんの姿があった。


「人んちで、何これ」

「いや、僕はAさんのファンで、それで」

「いいからとっとと帰れ、二度と来んな!」


急な怒鳴り声に驚いたのか、猛スピードでその男は姿を消した。


やばい泣きそう。
泣きたくない、あんな人のせいで泣くなんて、
頑張って堪えなきゃ。


「び、びっくりしたぁ。こんなところにまで来るような人、いるなんて、この世界どうなってんだか」

「下手な強がりだな。何かされた?大丈夫?」


力が抜けたように座り込んでいた私に、目線を合わせて萱島さんがしゃがんだ。
目の前に来た彼の顔は、ただ優しくて、純粋に心配してくれているのがわかった。

ほっとしたのか、涙が頬を伝っていく。


「手、掴まれただけ。大丈夫、私もう傷ついたりしないから」

「守るって言ったの、もう忘れた?」


頭をゆっくり引き寄せられ、萱島さんの肩に顔がつけられると、さらに涙が落ちていくのがわかった。
よかった、これなら見えないや、


.

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
141人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年9月21日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。