ペンディングトレイン

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「死んでもいいとか言うなよ！」


白浜さんの声がする方に駆け寄る。
きっとあの高校生に向けた言葉だ。


「逃げないで、一緒に今日を乗り切って、ここでやれるだけやってみよう」


ああ、あの頃の私にこんな風に言ってくれる人がいたら、

彼のような光があれば、諦めないでいられたのかな。



萱島さんがその場から離れるのが見えた。
気になって後を追う。

彼は私に似ていて、いつも危うさを身に纏っている。

だからかな、何故か目で追ってしまう。


「やれるだけやってきたろ、、なんで俺だけ、やってもやっても！いくらやっても！」


事情は何も知らない。
でもきっと何か後悔や失望が彼を押し潰そうとしているのを感じる。

いつも強気な彼の苦しみは強烈に心に突き刺さった。


岩場にしゃがみこみ、堰を切ったように溢れる涙と彼の心の悲鳴が、私の中に閉じ込めていた弱い部分に重なり、それ以上見ていらずにその場から逃げ出した。



息が上がる程に走った後、木の根元にしゃがみ込み頭を抱える。

だめだ、だめだ、
もう立ち直ったんだから、
全てを怒りに変換して、強くなれるように、立ち上がれるように、わたしは変わったんだ。

唇を噛み締め、目をぎゅっと瞑って、強くなろうと必死に涙が落ちるのを堪えた。

見ないフリをしなくちゃ生きていけないこともある。


やれるだけやってみる
そんな前向きになれる人間ばかりじゃないでしょ？



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