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暗くなる前に戻らないとと白浜さんの冷静な一言に私たちは歩き出す。
ストップと畑野先生の声に視線を向けると、カバンから靴を取り出して崖に片方落としてしまった彼の足元に差し出した。
疑ってしまってごめんなさいと畑野先生が謝ると、続けて白浜さんも申し訳ありませんでしたと頭をさげる。
さっきの女の子との盗った盗られたって話か。
態度が良いとはいえないこの人は疑われても仕方ない気もするけど。
謝っている2人は心底反省している表情だ。
直球で向かってくる相手には慣れていないのか、気まずそうな表情で顔を背けている。
「美容師、年は30、萱島直哉」
ぶっきらぼうに言い捨てて雑に頭を下げる彼。
もとい萱島さん。
初めて歩み寄ってくれたような気がして、少しホッとした。
「やっぱり24はおかしいと思いました」
「え、24?さすがに」
「全然いけるだろうよ」
和やかな空気を感じ自然と私も笑顔が溢れる。
あの聞いてもいいですかと前置きして白浜さんが口を開いた。
「さっきあの子が言ってた手紙って?何か事情でも?もし何かあったら」
手紙、確か若い女の子が萱島さんに刑務所からの手紙がどうとか、
「やっぱ俺、あんたとは相性悪そうだわ」
見るからに萱島さんの心のシャッターが閉まってしまったのを感じる。
気に障ったらしくまた1人で歩き出して行った。
なんとなく萱島さんの気持ちを察して胸が痛くなる。
白浜さんのまっすぐさは眩しい。
でもその眩しさは私は直視出来ない。
振り返りたい過去ばかりの人間なんていないと思うから、
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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2023年7月12日 11時