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そして、彼の説明をひとしきり聞いた。

宇宙開発によって産まれた宇宙デブリ。
そしてそれによって隕石の軌道が逸れて、地球に直撃し、すべての環境が変わってしまった。

理論が通っているその過去は、想像が出来て、途端に虚しさがやってくる。
彼の話すそれは、沢山の人間の死を意味していた。


「その話を聞いて僕は思いました、これはきっと運命なんじゃないかって、何かが起こったんです。色んな現象が重なって、僕達はここに来た。そしてこの国の未来を、いや人類の未来を知った。これには意味があるはずだ。帰りましょう。そしてこの未来を伝えましょう。家族に、大事な人に」


大事な人、
実家にいる家族、心配かけさせまいと遠ざけてしまったけど、こうなって初めて、無事で生きててほしいと思った。

帰りたい、家族に会いたい。
無くしてから、それが尊いものだったと気づくんだから、バカだなと呆れる。


演説と、雰囲気に飲まれて、何だか干渉に浸ってしまっていた。
この求心力が見知らぬ人達から、リーダーと呼ばれる理由なんだと実感する。


「そんな、無理に決まってる!」

「でも僕達がやらなきゃいけない」


玲奈さんの言いたいことはなんとなくわかる。
説明されても理解が及ばない状況、すんなり飲み込むことは難しい。

でも彼の語り口は、目的を提示して、同じ方向に煽られている感じがして、私は乗り切れなかった。


「今無線は途切れていますが、毎日遭難信号は送り続けています。皆さんからの情報が欲しい」

「情報?」

「何でもいいんです。皆さんと情報を共有したい。一緒に帰りましょう!お願いします!」


深々と頭を下げる山本さん。
こんなに、誠実に見えるのに、疑う私はおかしいのかな。



その日の晩、
私は一人で焚き火の前にいる、萱島さんの元へと向かっていた。


「萱島さん、昨晩はありがとうございました。あっちで、守ってくれて、怒ってくれて」

「あぁ、俺が腹立つだけだから、ああいう身勝手な奴ら」


なんて事のない顔をして、さらっと言うから、きっと彼からしたら本当に大したことではないんだろう。
でも私は、今まで晒され続けた恐怖から、守って戦ってもらえて、やっと人になれた。

そんな大袈裟な事を思うくらい、嬉しかったからから。


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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年7月12日 11時

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