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車内は鬱積とした雰囲気に包まれていた。

やっぱり人が多い空間は苦手だ。
どこからかいい匂いがしてそちらの方を向くと、高校生カップルがお弁当を広げていた。

あぁお腹すいたなぁ



するとどこからか若い女の子の甲高い声が耳についた。

またあの彼が揉めている。
人を怒らせるのが上手いらしい。


「絶対あれよ、前科者!そんな人信用できるわけないじゃない」

「信用?」


痴漢か詐欺師かクズかもしれないと乗客の顔をじっと見ながら煽る様に場を乱していく。

彼が持っていて盗んだと疑われたビニール袋を若い女の子に押し付けて、自分で返せと吐き捨てた。


彼の言葉は私の中にストンと落ちていく。
人は普通の顔をして獣の様な側面をもっているものだ。
もう信用なんてできないと痛感している。


彼は怒ったまま出ていくと言い残し、足早に森に消えた。


別に追いかけたいわけじゃない、
でも自然と足は彼の消えた森の中へ向いていた。

後ろから止めようとする畑野先生や白浜さんの声を聞きながら、1人になれた安心感にただ身をまかせて、突き動かされるように私は足を進めた。




「おーい」


だいぶ先に行ったようで彼の姿は見えないけど、恐らくいるだろう方向に歩いていると、突然人を呼んでいるような声響いた。
なんかあったのかな。
私は更に歩みを進めた。


「うわっ、つけてきたの?」

「違います、車内にいたくなくて」


私の姿を見つけた彼は、まるで嫌なものを見るような表情で目線を送った。
若干引いた様に苦笑いをしている。

なんか変に誤解されたかな、
空気を変えようと口を挟んだ。


「さっき誰が呼んでませんでした?」

「あぁ水のボトルが箱ごと落ちてて、落とし主がいないかと」

「え!水?」


水があるなら飲みたい、あまり考えないようにしてたけど喉が乾いて干からびそうになっていた。


向こうにまだあるよ、と言い残し歩き出した彼。


え、この状況で置いてくの
喉乾いたけどでも、

水を飲みたい衝動をぐっと押し殺して、彼に続いて歩き出した。
何故かそうした方がいいと思えたから、


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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年7月12日 11時

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