ペンディングトレイン

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「彼にはもちろん言えなかったけど、明るみになった時に言うしか無い状況になって、でも気持ち悪いって逃げられました」


私、か弱いタイプでもないし当然です。と謎のフォローで誤魔化す。

下手くそな苦笑いしかできていないだろうけど、泣くよりずっといい。


「つくづくクソだな。あんた男運悪すぎんだろ。代わりに殴り込みに行ってくれるような男、いなかったのかよ」

「萱島さん、みたいな？」


言った、言っちゃった。
でもそれは本心で、もしあの時側にいたのが萱島さんだったら、なんて何度も想像していた事だったから。

長く、目が合っている様な気がした。
先に視線を切ったのはやはり彼の方で、


「ふっ何言ってんの、そんなもしも話興味ないよ。過去は変わらない、どう足掻いても」

「ですよね。私変な事言って、ちょっと加藤さん見てきます」


上手く笑える自信がなくて、その場から逃げ出した。

掴みかけた手を、振り払われたようで、とにかく恥ずかしかった。



加藤さんのことを看ながら、不謹慎ながら今やるべきことがあって良かったと思った。

さっきのことを思い起こすと、到底眠れないだろうと思うから。


なんとなく、気持ちが通じている様な、そんな思い上がりを勝手にしていて、萱島さんはちゃんと現実に引き戻してくれた。

そもそも恋愛はもうしないと決めたはず、
私はここでやるべきことをやらなきゃ、



うとうとしていると、朝日の眩しさを感じて、ぼんやりと目を覚ます。
米澤くんや、畑野先生、白浜さんらと看病しながら一晩を過ごした。

ゆっくり頭を上げて加藤さんの顔色を伺うと、突然瞼が開き、意識が戻ったのがわかった。


「加藤さん！加藤さんわかりますか？」

「あぁ、はい」

「本当に、良かった、、」


全員が気が気ではない一夜を過ごしていた為、ほっとした声があちこちから上がる。
自然と、拍手が湧き起こった。


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