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加藤さんが目を覚さないまま、日が暮れ夜がやってきた。

米澤くんや畑野先生、白浜さんが隣に座って見守るも、目を開けてくれる気配はまるで無い。

隣でつきっきりで看病していた私も、一度気分を変えたくて外に出た。

暗闇の中、彼がぼーっと空を見上げて立っているのがわかった。


「萱島さん、」

「助かるといいよな、加藤」

「はい、絶対助かります。私が助けます」


ただの養護教諭が何言ってんだかって笑ってみせた。少しでも明るくしていないと、気持ちが病んでしまいそうで、


「あんた強いのな。色々あったのに、人のこと助けようとするんだから」

「萱島さんもですよ」


萱島さんはいつもの様に私の顔をじっとみると、不意に腰を上げ隣に座った。

え、え何?
突然のことで、心臓がうるさいくらいに跳ね上がる。


「痛い?これ」

「あぁ、別に大したことないですよ。慣れて、、」


言いかけた言葉を慌てて引っ込める。
もう不幸自慢は散々した。
私は、同情されたいわけじゃない。


「慣れてんの?」

「例の、前の時も、抵抗した時に、外からは見えないところを、何度か、、」


それでも追求する彼の言葉に、しどろもどろに言い淀みながら説明した。
あぁこんなはずじゃなかったのに、


「殴られるって痛いよな。俺もよく親父にやられてたよ。沸点がわかんない人で、とにかく地雷を踏まない様に、そればっか気にしてた」


遠くを見ながら、彼はそう言った。
私だけが可哀想にならないように言ってくれたのかな、勝手な想像だけど、そうだといい。


弟を庇ってんのが余計に腹立つのか怪我ばかりだったと自虐的に笑った。


「痛いですよね。殴られるのは」

「女なのに、そんなのに慣れんなよ。彼氏は守ってくんなかったの?いたんでしょ、確か」


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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年7月12日 11時

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