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「萱島さんはいますよね、その手紙大事な人からでしょ?」
「残念、はずれ」
「当たりですよ、もう嘘はごめんです」
はぁと大きくため息をついて、
苛つきをあからさまにさらけ出す萱島さん。
「一生懸命育ててやったのに、恩を仇で返された弟。ただのヤンキーで刑務所に入ったのも自業自得。あなたの言う大事からは程遠いよ」
乾いた笑いで自分自身を笑っているようだった。
でも私には泣いている様にしか見えなくて、
「何か一つでも大事なものがあるだけで、人は生きていけると思います。だから萱島さんはちゃんと生き抜いて下さい」
「A先生の教えですか?」
「何もないからこそ、わかることもあるんですよ」
目を伏せて萱島さんの視線から逃げた。
人のことを探っておいて、自分は棚に上げるなんてずるいかもしれない。
でもただ怖い。
向き合うには私は弱いから、
「これ、ありがとうございます」
いつもいつも逃げるばかりだ。
何か言いたげな彼の目が強く印象に残った。
4日目の朝を迎える。
今日は昨日見つけた水場に水を汲みに行く作業があった。
手を怪我した私は白浜さんに止められて、水汲み部隊には入れずに残された。
少しでもできることをしなければと、辺りを散策することにした私は1人で森に入る。
水の次は食べ物の問題がある。
なにかないかなとキョロキョロしていると、遠くで動く人影を見た。
あの後ろ姿は見覚えがない。
私たちの知らない人間がいる?
必死に後を追った。
すると相手もそれに合わせて、走って逃げていくのがわかった。
「あの!待って!話だけでも!!」
一生懸命走っていると、うわっと男の声がして倒れ込み転んだように見える。
今のうちに!
「はぁ、はぁ、逃げないで待って」
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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2023年7月12日 11時