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その晩車内にて、
人が多い環境でなかなか寝付けない私は、ただ目を瞑って少しでも身体を休ませようとしていた。
加藤さんと高校生カップルの会話が聞こえてくる。
皆に気を使って小声で話しているが、何故か耳を澄ませていた。
「人間は天使でもなければ獣でもない、だが不幸なことに、人間は天使の様に振る舞おうと欲しながら、まるで獣のように行動する」
パスカルという哲学者の言葉らしい。
やけに印象に残ったその言葉を、頭で反芻しながら眠りにつく努力をしようと、また目を閉じた。
そして3日目
水を探しに行くことになった。
このままでは身体の弱い者から倒れていくのは時間の問題だった。
体力気力ともにみな困憊している。
私も何か役立てればと水探しに同行することにした。
「萱島さんは行かないんですか?」
「行く、このままくたばるのは腹立つし」
先に行った畑野先生、白浜さん、加藤さんの後を追う様に2人で歩き始めた。
「A先生はあまり動じてないよね、いつも割と冷静」
「死ぬより辛いことを経験したら、図太くなれるんですよ」
「死ぬより辛い、ね」
つい口から溢れてしまった。
何でだろ、
彼の涙を見たからか、それとも彼ならわかってくれるかもしれないと期待しているのか。
苦手だと思った第一印象からは考えられないくらい、どこか惹かれている私がいた。
それは恋とかそんな綺麗なものではないけど、
「なんもない人間なんていないよ」
「こんな世界に飛ばされちゃうし、ありすぎるのも困りますけど」
はは、確かにと彼は苦笑いしている。
こんな状況じゃ自虐ぐらいでしかもう笑えない。
「疲れるー山道」
「コンクリートが恋しい」
ぼやきながら前に追いつくように必死に歩みを進めた。
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3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 藍さん» いえいえ、こちらこそ迅速な対応をありがとうございます!占ツクライフ、楽しんでくださいね! (7月15日 20時) (レス) id: da35f6fb87 (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 失礼します…!実在する方を小説に出す場合はオ.リ.フ.ラを外した方が良いですよ!また、nmmn(実在する人物を題材にした二次創作)ではご本人様の目につかないよう、伏せ字や検索避け(長くなってしまうので、お手数ですが詳細はご自身でお調べください)などをしましょう! (7月15日 16時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2023年7月12日 11時