スキズとひみつレンアイ (ページ1)

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始まりはあまりにも突然だった

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『…え』

店長「…ホンット申し訳ないAちゃん」

『え、いやいや。急に店畳むってなんでですか！？』

店長「ほら、うちの店もコロナとかで売り上げ激減したり色々大変だったでしょ？こんな小さなカフェだし、最近になってもあんま客足戻んなくてさ…。父の会社継いじゃおうかと思って」

『…それは…わかってますけど、でもわたしここ辞めたらどうしたら』

店長「ウーン、実は一つだけ紹介できる仕事あるんだけど…Aちゃんてあんまり人付き合い得意な方じゃないよね」

『店長？叩きますよ？』

店長「ヤー！ちょっと待って！話の続きを聞いて!」

『なんですか、そんな私にぴったりなお仕事を紹介してくださるんですか？』

店長「そうそう、あるんだよ。お客さん相手しなくていい！お金の管理もしなくていい！笑顔振りまかなくてもいい！」

『え…むしろそれをしなくていい仕事ってなんですか、怖いんですけど』

店長「全然安心して！…ほら、ウチの店の近くにJYPエンターテイメントっていう事務所あるでしょ？僕そこの社長さんと顔見知りなんだけど、最近社長さんがコーヒー飲みに来た時相談されてさ」

『あ〜…餅ゴリさん』

店長「コラ！…まあそれでね、所属アーティストの住む宿舎のお掃除とか料理とかを住み込みでやってくれないかって話なのよ」

『要するに家政婦ってことですか？』

店長「まぁそう言うと聞こえ悪くなるけど、そう。どうかな？家で黙々と作業してるだけで今より3倍くらいのお給料もらえるってなると君にとっても悪くない条件じゃないかい？」

『……3倍！？！？』

店長「イエ〜ス！しかもあの社長さんの提案だしね！僕も店畳む事になってAちゃんの事どうしようかな悩んでたし、ぜひとも！て感じで！」

『…(少し不安だけど私ももう26歳だし、ある程度家事は経験あるし。今更下手に転職活動するより良いのかな。)』

店長「…その顔は受けてくれるって事でOKかな？」

『はい、やります。餅ゴリさんに連絡しておいてもらえますか？』

店長「もちろん！……アーーー良かったーーこれで僕も心置きなく店畳めるよ〜、よしもうさっさと準備しちゃおう」

『えっ、もう今日撤去しちゃうんですか！？』

…なんか怪しいな。

店長「善は急げって言うでしょ！ちなみにこれ宿舎の住所！ここからそんな遠くないから」

『いやいや店長…あまりにも急では。あとわたし荷物とかあるし』