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「いった」
今日は良くない事が起こる
そう確信する
「んー、絆創膏っと…」
怪我をしたときは、大抵不吉な事が起こる
今までの経験上、身に染みて感じていた
左指の人差し指に絆創膏を巻き付けて
林檎の皮剥きを再開する
「光って誰だよ！」
不吉な予感は命中した
郊外の大人向けホテルで
顔を真っ赤にして捲し立てるオトモダチB
その必死な形相に思わず吹き出してしまう
「…何、笑ってんだよっ」
今にも手をあげそうな様相に
さらに笑ってしまいそうになるが
さすがに彼のプライドをこれ以上傷つける訳にはなるまいと、
自制をかける
_______大体、そこまで思い入れのある男でもない
「ねぇ、先に一つ聞いていい？」
「なんだよ！」
「わたしとあんた、いつからそういう関係になったの？まるで、浮気してるみたいな言いようただけと」
「...は？」
「好き、なんて言った？デートなんてした事ある？お互いの事、どれだけ知ってる？わたし、あんたの職業すら知らないけど」
さっきとは打って変わって
みるみると顔を青くしている彼に向けて
トドメを刺す
「知り合った初日にヤ って、それからずるずる今の関係引きずって...まさか、付き合ってるとでも思ったの？」
その後は
彼の返事も聞かずにホテルを出た
聞いたところで、今後の関係性の補填になるわけあるまい
ホテルを出ると、すぐそばの路地裏から
白猫が顔を出していた
ちょこんと座り、こちらを眺めている
その横を、なんとも言えない複雑な表情をした
黒縁猫が通り抜け
すれ違いざま、白猫を睨んだように見えた
「あなたも、誰かを騙してきたの？」
ひらひらと揺れる尻尾
こちらを見つめるその表情は
どこか微笑んでいるように見えた
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作者名：ま し ゅ め ろ
| 作成日時：2023年10月6日 9時
