毒林檎に甘いカクテルを。 -Daiki.A- 【完結】

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心臓がピリピリと痛むのは

手が届くわけないような人に恋をしてしまったから。

彼の優しさが、ただ痛いだけだから








それでもさ。

どんな関係でもいいから傍に居たいって思うのは

おかしい事なのかなぁ？








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「飲み…すぎた」


大貴「すごい勢いだったもんなー。 由紀、こいつどのくらい飲んだ？」


由紀「ボトル1本」









うげぇ…

そんな飲んだ？わたし。







身体がふわふわと浮いたような感覚で

全身が驚くほど熱い。









「明日も、授業……帰ん、なきゃ」


由紀「はぁ！？ 授業あったの！？ そんな飲んで、バカ！？」


「うぅ…ついつい。 ほら、らいち味、普段飲まなくて美味しかったから…」


由紀「はぁ……タクシー、呼んであげるから。 今日はもう帰んな」


「ふぁぁい…ちょ、トイレ〜」








カウンター席特有の高い椅子から降りようと

くるっと回転しようとしたとき


思った以上にその回転が頭に響いて

くらっと

前かがみに身体が傾いた








大貴「あぶなっ…」


「…う！」









咄嗟に大ちゃんが手を伸ばして支えてくれたから良かった


けど、想定外の危険要素が。








大貴「ん、なに？」


「…な、な、な、なんでもない！！」


大貴「…？」








やっぱり、こういうシチュエーションってさ

顔が近づくもんなんだね。



ほんの数10センチしかない大ちゃんとわたしの顔の間隔。

ふわりと、甘いカクテルの香りが鼻を掠めた。

それと同時に忍んでいる、彼の香水の匂い。








「…トイレっ。といれ、行ってくる！」


大貴「おー、行ってこーい」


由紀「……あいつ、詰んだね」


大貴「は？何言ってんの？」







背後で行われる言葉のキャッチボールは完全無視して。

(由紀に、バレたな。あれは)





なんとか足取りをしっかり保ってトイレに向かった









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