毒林檎に甘いカクテルを。 -Daiki.A- 【完結】

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由紀「Aっ」



「え、あ、えと、ご、ごめんなさいー！」









聞いてはいけないタイミングだった

緊張感の漂うあの雰囲気からして
おそらく"そういう"シーン









「え、寒いっ」









温かい室内から飛び出したせいで
外は酷く寒く感じられた

身も心も奥底から冷えるような感覚







正直、聞きたくなかった
知らないでいられるんだったら、知らないままがよかった









「……すき、だったのかぁ」









上を見上げれば
夕日がほぼほぼ沈み、黒に近い紺色の空が広がっている

いっそのことこのまま吸い込まれてしまいたいくらいの
ブラックホールのようなそれは
ただ虚しい心を煽るだけだった









「帰ろ」









由紀の恋バナ、聞いてあげられなかったな
でも
あの状況で話すのも気まずいよね

もう少し日が経ってからさりげなく聞いてみるか









そう心に言い聞かせ
たくさんのモヤモヤは残るけど
それら全てを置いていくつもりで
足を踏み出した









「！？」









ガシッと強く腕を掴まれる

そんなに握ると肉がもげそうなんですけど。









涙目になりながら振り返ると
そこには
童顔な顔が酷くやつれて、潤んだ瞳を浮かべた…









大貴「……行かないで」









彼が居た









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