7日間の別世界 #2 【完結】

＊5-5 -Daiki- ページ13

.









そういう事か。

全てが合致した。









光が何故、Aを轢き殺した犯人を食べたのか？
同じ日に生まれてないんだから、そいつの心臓を食べれば光は死ぬ
そうした所でAの命が助かるわけではない


けど



光はAの前世も同じ運命を辿ってたことを知ってたんだ









光「そん時は、純粋な交通事故…轢き逃げでも何でもない事故でAは死んだ」









光「運ばれてきた病院が、当時俺が働いてたとこで、その時も俺が治療をした…けど」









その先は聞かなくても分かることだった









大貴「……助からなかったん、だろ？」









きゅっと強く唇をかみしめ
Aを撫でる手も、血管が浮き出たのがわかった









光「あぁ…救え、なかった……婚約、していたのに」



大貴「だから…今回は、何としても助けてやりたかったって？」



光「……そうだ」



大貴「あほじゃねぇの？」









ほんっと、こういう所、真っ直ぐで
腹立つぐらい律儀なやつ









助けてやるって言ったって
Aは俺らと同じ生態にならなきゃいけねぇんだぞ？

それだけじゃない

別に"今の"Aは婚約をしてるわけでもない


言い方は悪いけど
死んだところで、大きな何かを失うわけではなかったはず。









光「でも……助けて、やりたかった」



大貴「…だからって、なんでアイツを食う事とこの事に繋がりがあんだよ」



光「それは……」









.









光「………Aがこういう運命辿ってんのに、平然と普通に生きてるってのが、無性に許せなかった、だけ」









それを聞いて


はぁ…と

重いため息をひとつ零す






こいつに、それ以上の理由なんて無かったんだ







ただ一言

Aを守りたいだけ

Aをこんな運命にした犯人を許せなかっただけ









光、お前さ…









大貴「……どんだけ、好きなんだよ」









.









大貴「Aの事」









.

＊5-6 -Daiki-→←＊5-4 -Daiki-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す