Produce 101 love Japan！［短編集］

#20　福地正　不思議 ページ42

学校の帰り道、いつもじゃ見かけない店を見つけた。

「喫茶…海葡萄…？」

喫茶店なのに海鮮の名前なのはなんなんだと思いながら、気になるので入ってみることにした。

「いらっしゃ〜い。こんにちは〜、はじめまして〜。」

可愛らしい男性がカウンターの向こう側に立っていた。

「お好きなお席にどうぞ〜」

ふわりと笑って、店内へ促す。


店の中は不思議な感じで、全ての席一つ一つが違う印象があった。

「お客様は〜、僕の目の前の席がいいんじゃない？」

お好きな席って言ったのにおすすめしてくるのか。

でも、何となくしっくりくるのでカウンター席に腰掛ける。

「ご注文はなんでしょうか〜、あ、珈琲おすすめだよぉ」
「じゃあ、珈琲ブラックで。」
「はぁい。」

ふわふわと話を進めるお兄さん。

「きみ、見たところ高校生だよねぇ。すごおい、もうブラックで飲めるんだね。」
「はい、小学校の頃かな、飲み始めて。」

大人だねぇ、なんて返してくる。

「喫茶店良く行くの？」
「好きで結構巡ってるんです。」
「なるほどぉ、じゃあ色々行くんだねぇ〜」

はい、どうぞ。なんて珈琲が出てくる。

いただきます、と一声かけて口をつける。

「わ、おいしいです。」
「でっしょ〜？僕の自信作なんだぁ〜」

ふわふわとしたお兄さんの笑顔と、暖かい珈琲。
ふたつが混ざりあって、不思議な感じ。

「僕ね、占いが得意なんだぁ。」
「占い？」
「そー！」

なんだかバーとかスナックでやるようなことを持ちかけてくるお兄さん。

「相性占い得意だよ〜、誰か占って欲しい相手いる？」
「特には…」

今は好きな人もいないし、気になることも無い。

「うーん、じゃあ、僕との相性占ってみようか！」

はい、じゃあお名前ここに書いてねー！と、お兄さんの名前を書いた紙を渡される。

「福地、正…？」
「僕の名前ね〜、君の名前は？下の名前だけでもいいよ〜」
「A…です。」
「Aちゃんね〜？はいはぁい、うんうんなるほどぉ。」

さらさらと紙に何か難しい事を書き足していくお兄さん。

(テレビとかで見るのとは違うやつだ。)

最後に数字を大きく書く。

「わぁ！！見て！！98点だ！！」

なんか恥ずかしい〜なんて言う正さん。

「えへへ、僕たまにお客さんにやるんだけど、いつもみんな20点くらいなんだよね…。初めてこんなにいい点数出ちゃった！」

この相性占いは、本当なのか、なんなのか。

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