プリモアモーレ【黒尾鉄朗】

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美化委員が集められたのは、体育祭中の清掃もろもろの役割分担のためだったらしい。

委員長の話に耳を傾けつつ、「気が早いねえ」と研磨くんに囁くと、「ね」とすごく嫌そうな顔をする。



暑いし汗かくだけだし部屋の中にいたい、という研磨くん。なんだかんだ言って、いつのまにか行事でリーダー的な役割をしてる黒尾の顔が出てきて、そういうところはやっぱり似てないなあ、とこっそり笑った。






要項の紙をもらって解散すると、




「Aさんは応援団なんでしょ？」



と聞かれた。そうだけど、「なんで知ってるの？」。一学年下の研磨くんが知ってるとすれば、去年の体育祭に来て見つけてくれたとかかな、と首を傾げると、




「いや、クロが言ってたから」

「黒尾が？」

「うん去年ね。……Aさん学ランどうするの？」

「なんかね、今年から法被着ることになったんだって」




そう答えると、





「そうなんだ」

と、なんとなくほっとした顔。


同じようなことを聞いて、同じような反応をするなあと思う。研磨くんに至っては、なんでそんな表情するのか分からないけど、黒尾から借りて欲しかったとか？そんな訳ないか。




「ねえ研磨くん、なんで」

「A！」

「…あ、クロ」




名前を呼ぶ声に反応して、研磨くんが私の後ろをひょこっと覗き込む。「お、研磨か」と背後の声が近づいたから振り向くと、「5限移動ですよAさん。弁当食べてないだろ？」って。




急がなくてだいじょぶ？と言われて時計を見ると、昼休みが終わるまであと15分しかない。

「ありがと黒尾！」急いでお礼を言うとひらひら手を振られたから、研磨くんにも手を振って走り出す。



















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「…………………俺に対して以上に過保護だね」

「…………研磨くんお口チャックね」







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