プリモアモーレ【黒尾鉄朗】

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新しいクラスにもすっかり慣れて、5月も半ば。





つい数ヶ月前には教室の窓の外で眩いほど咲いていた白やピンクも散ってしまって、葉桜にすっかり姿を変えてしまった。おかげで梅雨に向かってじんわり暑くなってきたし、ちらほら中間服を着てる生徒もちらほらいて、ああ、そろそろベストに変えよう、なんて思う。


教室に目を向けると、ちょうど長袖を腕まくりしてた黒尾と目が合う。やっほ、と口だけで送ると、教室の真ん中から端にいた私のところまで歩いてきた。





「どうしたの？」

「体育祭、なんかやんの？」





ああ、そのことか。

そういえば朝のHRで1学期末、約3ヶ月後にある体育祭の係や長の募集を先生が呼びかけてたなあ、と思い出す。都立高校的には学校行事に気合を入れて大規模な催しにすることで、来年度の志願者を呼び込むつもりらしい。





「去年もやったし応援団かな。黒尾は部活動対抗リレー今年も出るでしょ？」

「逆に言えばあれと障害物競走くらいしか出番がないんだけどな」




と苦笑い。せっかく足速いんだしブロック選抜も出ればいいのに、というと、「あれはブロック背負ってるから荷が重いの」と大きくて伸びをした。





「今年も黒尾は赤って言ってたもんね」

「Aは今年青だもんな」

「離れちゃったね」

「だな。夜久と海も青だし、俺も青が良かった」





同じクラスでもそれぞれみんなブロックの色が分かれることを、至極残念そうに顔をしかめるから、「ハチマキ交換とかもできないしTシャツの色も違うし残念だね」と笑うと軽く頭にチョップが降りてきた。











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