桜前線 1【GO】 (ページ41)

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41　慢心が生んだ失敗ページ41

勉強なんて全く手をつけてなかった。大して対策しなくても問題ない。一応これでも中身は社会人、中学の勉強などお茶の子さいさいである。そう思っていたから、赤点だらけのテスト用紙が返却された時は驚いた。自信をもって書いた回答がことごとく✓。いや、雷門中は実は国際的な採点方式をとっていて、アメリカのように✓が正解で○が不正解を示すという可能性もなくはない。しかし、赤点であるのは点数から自明であった。

サッカー棟のミーティングルームでは定期考査の話で盛り上がっていた。神童くんは当然のように学年1位。ちょっと恥ずかしく思いながら赤点であることを自白すると、急に注目を集めた。浜野くんからは共感され、仲間だと思われている。

「マジ？俺と一緒じゃん」

浜野くんニッコニコ。そして、衝撃的な言葉が霧野くんから放たれる。

「赤点を取れば、放課後は補習の強制参加だぞ。もちろん部活動は参加できない」
「エエーーッ!?!?!?!?」
「だよねーっ。佐倉、頑張ろーぜ〜」
「えぇ、部活参加できないの...」

雷門中にはそんなシステムがあったのか。早く言ってくれ。知ってたらガチで対策したのに。監督は同情したような顔でうんうん、と大袈裟に頷いた。

「気持ちはわかるぞ佐倉。俺も中学の時は理不尽すぎて抗議したことがある」
「円堂監督、成績悪かったですからね...」
「バラさないでくれ春奈」

もしかして、音無先生って監督の学生時代を知ってたりするのかな。

「ま、転校生だから仕方ないっしょ。授業途中から参加したんだし」

浜野くんがフォローしてくれたものの、大学卒業した人間が中学のテストで赤点を取るのは我ながら恥ずかしいと心の中で思った。