桜前線 1【GO】 (ページ26)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:3,989 hit

26　vs 万能坂 [2] ページ26

ハーフタイムの後、万能坂戦の後半が始まった。観客席もグラウンドも、異様な空気感に包まれている。次に衝撃的だったのは、雷門の半数以上の選手がグラウンドの端に固まって並んでいたことだ。なにか策があってそう並んでいるんだろうか。観客席からでは選手の考えは読み取れない。

無双している選手は剣城というらしい。どっかで見たことある気がするけど、気のせいかな。優れたテクニックを駆使して一人で敵陣に攻め込むも、化身とやらを出したゴールキーパーに止められた。

「なななーんと...！万能坂中光良も化身を出した！都市伝説と思われていた化身が、次々と出てきます！！」

実力を剥き出しにしてきた万能坂に圧倒され、失点した雷門。今後は剣城がリンチの標的となるも、高度な対決が何度も繰り広げられた。ボールの扱い方を熟知している者同士でのボールの奪い合いだ。目が離せない。動ける雷門の選手が少ないこともあって、神童くんたちはすぐに押さえ込まれている。万能坂の化身の出せる選手が雷門中ゴールの前に到達して絶望が見えてきた時、今まで動かなかった雷門選手が動き始めた。途端に、雷門は息を吹き返したように士気が上がった。互角の戦い。

化身対化身の対決。観客席も緊張感が高まる。こんなに激アツな試合を観るのは初めてだ。神回確定。化身を出した剣城が威力の強いシュートを放ち、万能坂のゴールキーパーも化身を出して対抗する。本気度がうかがえる。結果として雷門の剣城が得点し、同点に。剣城の放ったシュートの防御で体力を消耗した万能坂中のゴールキーパーは途端に動きが鈍くなり、神童くんのフォルテシモにより失点した。ちょうど良いタイミングで試合は終了した。雷門の勝ちが確定した。観客席は皆惹き込まれたような顔をしていた。帰り道の送迎バスで皆の感想が聞こえた。

「今日の試合すごかったよねー」
「いつもと全然違った！面白かった」

サッカーってこんなに人を魅了させるんだ。感じられたのではない、感じさせられた。彼らの試合は人の目を釘付けにする力がある。心と心をぶつけ合う本気の試合ほど面白いものはない。緊張感を肌身で感じた。

サッカーってすごいな。

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