桜前線 1【GO】 (ページ21)

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21　vs 天河原 [2] ページ21

天河原中隼総の化身の力は凄まじく、あっという間に同点に持ち込まれて前半が終了した。ハーフタイムの間、実況は考察を続ける。

「えー、天河原中と雷門は同点ですねえ。一体どちらが勝利を掴むのでしょうか」
「天河原はチーム内で統制が取れていますが、雷門はバラバラのようにも見えます。ここは天河原が優勢ではないでしょうか」

そんな中、私はテレビ画面に張り付いて応援していた。

「頑張って...神童くん、天馬くん、信助くん」

天馬くんと信助くんが誰よりも練習を頑張っていたのは知っている。顔が傷だらけで、躊躇なく真剣にサッカーをしていたから。がむしゃらなプレー。神童くんは誰よりもサッカーに向き合おうとしていた。3人はみんな本気のプレーで試合に臨んでいる。プレーや動き、顔を見ればわかる。そんな中、彼らに感化されたのか、突然雷門のキーパーの動きが良くなった。拍車をかけるように神童くんが皆を統制し、軌道を作り上げていった。

天河原中隼総の化身が立ち塞がる。彼に対し、神童くんも化身を出して対抗した。放った化身のシュートによって、雷門が1点リードした。そして試合が終了した。

「か、勝ったー！！」

神童くんたち、勝ったんだ。両手を上げて喜んだ。ふと背後を振り向くと、執事さんやメイドさんたちも感動している様子だった。

「拓人ぼっちゃま...」
「拓人さま、良かったですね」

神童くんはここ最近ずっと塞ぎ込んでいた。しかし、この試合の勝利はきっと彼を良い方向へ導くだろう。そう確信した。しかし、帰ってきた神童くんは明るい表情ではなかった。