桜前線 1【GO】 (ページ19)

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19　元気な1年ズページ19

河川敷に着くと先客がいた。あれは...茶髪天パくんとピカチュウくん。部活が終わってもサッカーしてるんだ。見かける度いつもサッカーしている気がする。今はパスの練習を繰り返してるみたいだった。しばらく眺めていると、彼らが大きく手を振っているのが見えた。

「せんぱーい！」

近寄ると、彼らは意気揚々と話しかけてきた。

「サッカーボール持ってるってことは...もしかして！」
「うん。ちょっとやってみたくなったんだよね。完全素人だけど」
「サッカー始める時はみんな素人ですよ。一緒にやりましょう！」

彼らは名前を名乗った。同様に私も名乗る。

「俺、松風天馬っていいます！で、こっちは信助！」
「西園信助です！」
「天馬くんと信助くんっていうんだ。私は佐倉A」

元気な中学1年生だ。私が中1の頃はもっと陰気だった気がする。
彼らの練習に混ざり、パスをしながら会話をした。彼らから飛んでくる質問はその殆どが神童くんに関するものだった。

「キャプテンとはどんな関係なんですか！」
「んー。お友達って感じかな」
「え、キャプテンの親戚かなにかかと思ってました！」
「ううん。全く血縁関係はないよ」

「どこで知り合ったんですか？」
「ちょっと色々経緯があって。説明しにくいんだよね」

「キャプテン、家ではどんな感じなんですか！」
「んー、大体ピアノか勉強してるよ」

パスの後、天馬くんがそよ風ステップを披露してくれた。本当に微かな風ではあるものの、相手の自由を奪うような、そんな技だった。彼の一直線なプレースタイルがそれを可能にしていると感じた。気づけば辺りは暗くなり始めていて、解散することにした。

「俺たち家こっちなので！また今度！」
「お疲れ様でした！」
「うん。お疲れさま〜」

手を振って別れる。ぽつんとその場に残った自分。そろそろ帰ってもいいけど、もうちょっとサッカーしたいかも。

「そよ風ステップか」

素敵な技だった。爽やかで、天馬くんらしい技というか。いや、天馬くんについて深く知っている訳ではないけど、なんとなくそんなイメージがある。天馬くんの真似をしてドリブルをしてみるも、上手くいかなかった。天馬くんって思ったより凄いのかも。ボールのコントロールって難しい。