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真夏の澄んだ晴天とは裏腹に私の気持ちは曇るばかり。
結局あの日から、弟者くんにLIMEを送ることさえできず一人で落ち込む毎日。
弟者くんからも連絡はこない。
次のバイトで会ったら、謝ろう。でもなんて謝るべき？
むしろ会うのが気まずいな。
何をしていても、何を考えていても、彼のことばかり浮かんでしまう。
はあとため息をつきながら、講義が終わった机に頬杖をついて窓の外を見た。
蒸し暑そうな外に、大きな木陰ができている。その下には楽しそうに笑うカップルの姿があった。
「 いいな…、 」
「 …あれ、まだ人いるじゃん。 」
「 ！…あ、すみません、 」
教室に入ってきたのは、ちょっとガラの悪そうな学生。
一瞬教授かと思い、広げたままの教材とパソコンを急いで閉じた。その流れで教室を出ようとすると引き止められる。
「 あー…あ、ちょっと待って、君経済の子？さっきの講義とってた？ 」
「 …はい、そうですけど。 」
「 マジ？今日何した？ 」
「 …前回の続きです。配布物とかはなかったです。 」
それを聞いてほっとした顔をする男性。
ヤンキーかと思えばただの学生だった。
「 レジュメとかって持ってる？あ、俺メロって言います。もしよかったら見せてくんないすか。 」
そう言って手を合わせて頭を下げたメロさん。
こうまでされたら見せない訳にもいかず、私はカバンからクリアファイルを取り出して彼へと渡した。
ぱあっと表情を輝かせて、両手で受け取る彼。
「 次とってる講義なんかあります？そん時に返してもいいすか？ 」
「 あ、はい、全然大丈夫です。 」
「 ありがとう！助かる〜。名前聞いてもいい？ 」
「 Aです、必修はほとんど取ってるので、また見かけた時に返してくだされば。 」
そう言い終えて私は教室を後にしようとした。
しかし、メロさんが私の手を掴んで引き止めた。何回引き止めるつもりなのか、そう思って振り払おうとした。
「 もしかして、弟者ってやつと仲良くしてる？ 」
「 ！…弟者さんのお友達、ですか。 」
「 うん。やっぱりそうだよな、Aって名前何回もアイツから聞いてるよ。 」
「 え、うそ、 」
メロさんは、それだけ言ってじゃあと手を振って教室を出た。
引き止められてそのまま立ち止まる私を置いて。
弟者くん、周りに私のこと言ってたんだ。
急に彼と話がしたくなって、モヤモヤを晴らすためにもLIMEを開いた。
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作者名：まる | 作成日時：2024年3月12日 18時
