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歩き出した彼女の気配に、もう振り向かないと決めた。
一人になれば寒さはいっそう身に染みて、ポケットに両手を入れ足早に帰路につく
白い雪がチラチラと視界をかすめると
湧き上がるのはどうしようもないほどに急く思い
この雪のように消えてしまうかもしれない瞬間を今 伝えたい
「はる!」
よもや。口をついて出た名前
振り返れば
遠く
けれども確かにそこに寒がりなはずの彼女の姿があった。
心にずっと在り続けた面影と重なる
大きくうなづく姿に増していくのは溢れるほどの愛おしさ
いつから?
まさかずっと? ・・・
*
全力疾走して抱きしめた温もりが スーツ越しの冷えた体に伝わると
一緒がいいと素直に思う。
俺は はるが好きだったと
恋心に気づいたのは、たった今。 全くもって不甲斐無し。
今夜の偶然に全て任せようと決心して息を整える
「はる、君が好きだ!」
「私はずっとよ」
「ずt
・
・
と?
「わ っ し ょ い!」
涙で鼻を赤くして うなづくはるを抱き上げると
遠回りした初恋がいま、動き始める
再会
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作者名:ふゆ | 作成日時:2023年12月2日 17時