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春と呼ぶにはまだ少し早い三月初めの卒業式、それぞれの進路に向かって歩き始める日は同時に別れの日でもあって。
慣れた環境から離れがたい気持ち、散り散りになる友達みんなの願いや夢が叶うといい、そんな都合のいいひとり言に実弥が言った。
「さよの願いなら 叶えてやるよぉ」
「どうやって？」
「言うだろう？ 星に願いをって」
＊
あの日からどのくらい経っただろう？
今年最後の流星群は、今日がピークだと朝のニュースで聞いた気がして階段を上る足取りがフワフワしてくる。
だけど実弥にはまだ内緒にしておこう。それですごく驚いて見せよう。
実弥が飛び上がって喜ぶくらいに！
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作者名：ふゆ | 作成日時：2023年11月25日 18時
