こんなに狡い男だったなんて知らない。 (ページ6)

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唇が離れると、今度は優しく抱きしめられた。

そのまま甘えるように擦り寄ってくる今野に

愛しさを感じて、自分よりも大きな背中に腕を回す。

こうして1番近くで感じる体温に安心感を覚えた私は

久しぶりに心の底から満たされているような気分になった。

「どう？」

『どうって？』

「そういう目で見れそ？」

『ぅ"、なんか今野狡くない？』

「そう？」

意地悪そうな笑みを浮かべながら聞いてくる今野は

やっぱり狡い男だと思う。

そんな風に言われたら意識しない方が無理だ。

それにしても、まさか今野とこういう関係になるとは

思ってなかったなぁ。

「…返事くれねぇの？」

『うーん…』

不安げな表情でじっと見つめられる。

今野の事は好きだけど

それは恋愛感情かどうかと言われたら違うかもしれない。

でも、今野のことを嫌いではないし

寧ろ今まで以上に好意を持っていることは事実

答えあぐねていると、突然押し倒され

視界には天井と覆い被さるようにしている今野の姿。

「まぁ、いいや」

『ぇ？』

「朝まで時間あるし、」

そう言うと首筋に顔を埋めて吸い付いてくる彼。

そのまま下へ降りていけば

胸元に赤い痕をつけていく。

「身体だけでも良いから、」

『っ、』

「今は俺の事だけ考えててよ」

その真剣な眼差しに射抜かれてしまえば

もう拒むことなど出来なかった。

今野の言葉に小さく肯定の意を示すと

嬉しそうに微笑んだ彼は再び口付けた。