CRAZY LOVE (ページ2)

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午後6時、開店と同時にお客様からの予約が入り

今日最初の接客が始まる。

ドアを開ける音と共に入店してきたのは井上さん。

井上さんも私に沢山お金を使ってくれるお客さんのひとり

『井上さん、今日も来てくれてありがとう〜！』

「ん、今日もよろしくね」

『はい！』

「とりあえずアルマンドのレッド一本で」

『やった、井上さん、ありがとうございます〜！』

井上さんは今は少しぶっきらぼうだけど

お酒が入るとちょっと人が変わっちゃう可愛い人

高級シャンパンを入れてくれた井上さんと

のんびり話しながらシャンパンを口にする。

このレッドは柑橘系とブラックベリーの

ニュアンスが感じれるシャンパンで

ロゼよりも甘口な味わいでここ最近の私のお気に入り

井上さんは既に酔いが回ってきたのか

顔ほんのりと赤くさせながら私にくっついてきている。

「今日はずっと俺の隣にいてね」

『もちろん！』

「昨日猪狩がブルーディだったみたいだから、独り占めできると思ったのに作間が邪魔してくるし、俺寂しかった…」

『ごめんなさい、でも作間さんもお客さんだからお仕事としてとして接客はしなきゃ』

「わかってるけどさぁ、やっぱり悔しいじゃん」

『じゃあ今日のアフターは私が井上さんの好きなオムライス作ってあげる！』

「ほんと！楽しみにしてる！」

井上さんと話してると黒服が

「すみません、指名入りました…」と耳打ちしてくる。

今日は井上さん以外の常連さんから連絡は来ていないから

新規さんかなと思っていると

現れたのはここにいる嬢にも負けない程

派手なアウターを身にまといサングラスをかけた男性。

「Aちゃん昨日ぶり〜」

『猪狩さん！？』

「お前昨日ブルーディだったから今日は来ないんじゃ…！」

「ん？会いたかったから来ただけだけど？」

驚く私達を無視して隣の卓に座る猪狩さんと

そんな猪狩さんを見て井上さんは

不満そうな表情を浮かべている。

それに気づいた猪狩さんはにやりと笑い

井上さんに視線を向けて

黒服に「クリスタル3本で」と伝える。

「くそっ、ずっと隣にいるって言ったのに…」

「被りは伝票で殺すんだよ」

悔しそうに呟いた井上さんの言葉を聞いて

猪狩さんはより一層笑みを浮かべながら

井上さんを煽っている。

私は二人のやりとりを見て苦笑しながらも

井上さんの前にグラスを置き

猪狩さんには新しいボトルを入れる為に席を離れた。