28. 怒り ページ31
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エンマ「A?」
恐る恐る部屋の扉を開けると、Aの応答や姿はなく代わりにそこにいたのは見知らぬ男。
窓から入る月の光のせいか顔はしっかりとは見えない。
その見知らぬ男の腕の先には女らしきシルエットがぶら下がっていた。そのシルエットは動く気配はなくただただそこでじっとしていた。
この時間に此処を通る女官は少ないだろう。
というかそもそも此処はAの部屋なのだから女官の可能性は低いだろう。だとしたらぶら下がっているのはAか…?
『…え、んまさ…』
小さく俺を名前を呼ぶ声でぶら下がっているシルエットの正体がAだと分かると怒りがぐつぐつと湧き出してきた。
感情的になるにはあまり良くないと思って、出来るだけ感情を殺す様にしてるつもりだが今にも爆発しそうだ。
…なんでだか自分自身もわからない。人や妖怪を助けるのは当たり前だがAが傷つけられて苦しそうなとこは見ていたくないのか
とても今すぐにでもあいつの腕から引き剝がしてまで助けたい、それともなぜか知らん奴がAに触れてる事自体が気に食わないのか…。
まだ今の俺にはこの気持ちを理解することは難しかった。
エンマ「おい、今すぐお前が掴んでいるものを離せ」
??「………」
そいつはちらりと俺の方を見ると怪しげに目を細め掴んでいたAを宙に放り投げその場から姿を消した。
俺は慌てて乱暴に放り投げられたAをキャッチし、温もりを確かめるように強く抱きしめた。
手足の先は少し血色が悪く冷たかったがちゃんと息をしていてホッとした。
だが小刻みに小さく震えるAを見るとまた静まりかけていた怒りが込みあがってきた。
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、先ほど男の立っていた場所を睨む。
ふと床を見ると何かが落ちていた、見た感じ紙切れだ。小さく折りたたまれていて茶色い土がうっすらと付いている。拾いに行きたいところだがAをこのままここに置いておくことに不安があり急いで俺の部屋に連れて行ってベットにゆっくり降ろす。
それに気付いたAは体を慌てて起こし目にうっすらと涙を浮かべながら小さく『まだこわいから離れないでほしい』とだけ言って俺に抱き着いた。しょうがないからAの背中に手を回す。
困った、
これは非常に困ったぞ。
正直今こんな状況だからやってやろうみたいな変な気持ちは全くないが、その…俺もちゃんとした男なのだから気を付けて欲しいものだ
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サナ - ´むぅ`さん» 凄いですね(笑) (11月26日 13時) (レス) @page32 id: 8678ad65e9 (このIDを非表示/違反報告)
´むぅ`(プロフ) - サナさん» 森林化してますね、多分👍✨ (11月23日 0時) (レス) @page32 id: 2c6b8de15a (このIDを非表示/違反報告)
サナ - ´むぅ`さん» それ、もぉどっちも死んでんじゃないですか!(゜ロ゜;ノ)ノ(笑) (10月14日 22時) (レス) id: 8678ad65e9 (このIDを非表示/違反報告)
´むぅ`(プロフ) - 彩華姫さん» 本当ですか…私のこんな文才でもかっこいいって言ってくださりありがとうございます😭✨ (10月14日 8時) (レス) id: 2c6b8de15a (このIDを非表示/違反報告)
´むぅ`(プロフ) - サナさん» 一世紀後くらいですかね!?(は)冗談でも嬉しいです、ありがとうございます🥰 (10月14日 8時) (レス) id: 2c6b8de15a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:´むぅ` | 作成日時:2023年5月31日 10時