蝶屋敷 ページ8
「もう、朱雀さん、無理はいけないって言っているでしょう?」
「⋯⋯ごめん、しのぶちゃん」
「これからは注意してください」
ね? と首を傾げるしのぶに、Aは肩をすくめて頷いた。
任務後、出血が少し多いと思って蝶屋敷へ行くと、しのぶに強制的に寝かされ、検査と治療を行うことになったのだ。
「鳥柱様、頑張るのはいいことですが、無理は禁物ですよ!」
包帯を運んで来たアオイにも注意される始末だ。
(なんだか不甲斐ないな.........)
しゅん、と肩を落とすAに、しのぶは微笑みを浮かべてさらっと一言。
「珍しく伊黒さんも心配していらっしゃいましたよ」
「⋯⋯⋯へえ、そうなんだ」
「一緒に任務に行ったそうですね」
Aはこくり、と頷く。
柱の中では、伊黒とAが仲が悪いことは皆が承知している。
しのぶが気にするのも無理がない。
少し間があき、しのぶが思い出したように尋ねる。
「朱雀さんは、どうして伊黒さんが嫌いなんですか?」
初めてのその質問にAは表情一つ変えずに言う。
「私、蛇が苦手なの。幼い時に、いろいろとあって、さ」
「いろいろ?」
「うん、いろいろ〜」
「その内容を聞いてるんですけどね?」
胸がドキドキとする。
言ってしまおうか、言わないべきか。二つの選択がAの頭の中でぐるぐると回り出す。
「しのぶ様!」
丁度その時、なほちゃんがひょっこりと部屋に顔を出した。
「患者様が来られました」
「あら、もうこんな時間。じゃあ朱雀さん。お大事になさってくださいね」
「うん、しのぶちゃん、次は柱合会議で」
そう手を振りながら、Aは先ほどの選択で頭がいっぱいだった。
思い出したくない記憶が脳内を駆け巡る。
『いろいろ?』
「私だけじゃない。もっと辛い経験をした人達がここにはいるんだよ⋯⋯」
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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時