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作戦 ページ7

「斬れた」


その言葉と共に安堵の息が漏れる。


甲の隊士が亡くなったと聞いた時は恐ろしかったが、鬼の特性に気づくと案外大したことなかった。


共に戦った彼らの冥福をお祈りし、そっと目を閉じた時。


「朱雀、貴様の目は節穴か? それで終わった気分になるな」


その伊黒の声にはっ、と見渡すと、刀を持った鬼がAの後部に立っている。


「ハハハ、雑魚柱! もうお前の命はない! 間に合わんぞ!」


鬼特有の殺気に包まれ、どうしてだろうか、Aの体は硬直してしまった。


(まだいたの、そんなの無しでしょ! って、)


「血鬼術 増悪無限」


鬼の刀を止めることしか出来ない。呼吸が上手く使えない。


ぐぐぐぐ、と力を込める毎に、鬼の体は拡大を続けていく。


小柄で細身なAは、体力が少ない。


「い、伊黒っ助けて!」


咄嗟に叫んだのは、普段は憎い彼の名前。


助けを呼ぶなんて、柱として不甲斐ない。だが、この状況では鬼を殺すのは不可能だ。


加えて⋯⋯Aには一つ、作戦があった。


「貴様、本当に柱なのか」


呆れ声が、微かに聞こえる。しかし目の端で鬼の頭を見やると、伊黒の太刀が鬼の頸に跳ね返されそうになっている。


今だ。とAは声を張る。


憎しみが原動力ならば、敬意は、攻撃として加算される?


「貴方の攻撃は鋭くて瞬発力があって、素敵。どうしたらそんなに美しい太刀筋になるか教えてほしいぐらいに、ね。あと、刀への力のかけ方も絶妙なのね。凄い」


「へぇ、そうか?」


精一杯のお世辞に、鬼の押す力がふっと弱まる。と同時に。


曲がりくねった日輪刀が、その頸をはねた。





辺りは静まり返り、落ち着いた空気を醸し出している。


「ありがと伊黒」


反射的にそう言ってしまい、Aはふい、と顔を背けた。


「奴の血気術はどんなものだったんだ」


「人の憎しみを力にしてた。鬼を憎めば憎むほど強くなってたの」


そうかえすと、ふぅん、と素っ気ない相槌。加えて、


「貴様、太刀筋を極めたいのか。しごいてやろうか」


と、一言。


「は?」


「忘れたのか、教えてほしいと自分で言っていただろう。自分の発言に責任を持て」


「あれは別の話! 鬼への作戦!」


そうはいいつつも伊黒の綺麗な太刀筋を思い出す。


⋯⋯⋯教えてもらいたいな。


しかし、共闘したといえども、伊黒とは、まだ壁があり。


「遠慮します! また柱合会議で」


Aは踵を返して、夜の向こうへ駆け出した。

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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時

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