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別れと ページ14

「父さん!」


叫ぶと同時にAは父の元へ駆け寄った。


傷だらけで倒れている父を抱き上げたが。


彼の体は冷え切っていた。


息も既にない。


「父、さん⋯⋯」


Aはその場にへたり込んでしまった。


(立て、私。柱でしょ)


自分に言い聞かせるが、一度力が抜けてしまったものはなかなか治らない。


全集中の呼吸・常中も止まってしまった。


目から涙がこぼれ落ちる。


「うぅっ」


嗚咽が漏れ、Aはポロポロと涙をこぼした。







「あれは⋯⋯」


任務を終えて帰宅途中の伊黒は、とある家の前でうずくまっている鬼殺隊士を見つけた。


伊黒の範囲はAの地区より奥である。


つまり蛇柱邸へ帰るためには避けられない道なのだ。


淡い鶯色の羽織に「惡鬼滅殺」と書かれた日輪刀。


「⋯⋯朱雀」


柱がこんな所で何をしているんだ、と思いつつも、家の様子を覗いた。


鬼が暴れまわった形跡がはっきり残っている。


(もしかして、朱雀の父が?)


「朱雀。何時まで泣いているつもりだ。貴様、柱ではないのか?」


伊黒は、Aの有様を半分納得しつつも、罵倒の言葉を浴びせた。







「父さん⋯⋯」


その声にはっと顔を上げたAは、上から見下ろしてくる蛇柱を凝視した。


厳しい視線こそいつも通りだが、少し優しさ、心配そうな表情が見える。


「ごめん、柱⋯⋯鬼殺隊のトップになったのに。大切な人を守る立場になったのに⋯⋯! 守れなくってごめんなさい!」


自然と言葉が次から次へと溢れる。


伊黒に聞いてもらう必要もないのに、何故か言葉が止まらなかった。


「ずっと支えてくれてありがとう。父さんのお陰で強くなれた」


父を抱き上げながら、耳元で声をかけた。



大好きだった。優しく力強い父が。


鬼殺隊に入ることを心配しながらも、一番応援してくれたのは、他でもない父だった。


そして、突っ立ったままの伊黒の方を振り返る。


「ねえ伊黒。もしよかったら、この後少し話してもいい?」


「⋯⋯唐突だな」


「父さんから聞いた話がしたくて」


まだAが幼い頃、父とAが二人暮しになった経緯。


どうしても伊黒に聞いてみなければいけない、とずっと思ってきたことがあるのだ。


ここで会ったのも何かの縁。


「構わない」と答える伊黒に、初めて心からの「ありがとう」を言うことができた。


同時にAは、彼に対する蟠りが薄れていることに気づいた。





(あれ私、伊黒のこと⋯⋯)

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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時

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