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安堵 ページ13

鬼の気配。血の匂い。


ただ目的地へ向かって走るAの感覚がどんどん鋭くなっていく。


「キャアァァ!!」


悲鳴が聞こえた方向に一目散に走る。


声の主は、親しくしてもらっていた農家さんの家から、だということが分かった。


ガラッと音を立てて扉を開けると、鬼がこちらを振り向いた。


「柱か? 俺の食事の邪魔をするんじゃねえぞ」


そして、農家の娘-紗代-に牙をむく。


「Aちゃん!? 私はいいから逃げて!」


紗代がこちらに気づいて精一杯の声で叫ぶ。


一つ年上の紗代とは、近所のため実家に帰る度に話す仲だ。


彼女を見殺しにできる訳がない。


「鳥の呼吸 肆ノ型 響鳴双乱」


鬼の両腕を切断しながらAが声を張り上げる。


「今のうちに逃げて、紗代さん!」


一息つく間もなく、刀を振るう。


「鳥の呼吸 陸ノ型 柔和の翼」







「Aちゃん⋯⋯⋯ありがとう」


鬼の消滅後、紗代が目に涙を浮かべながらAの手を取る。


「いえいえ。これが鬼殺隊の仕事だから」


紗代の手当てをしながら、Aは微笑む。


紗代が知っていたのは、Aが鬼殺隊に所属し、鬼という正体不明の生物を滅しているということだけだった。


今日初めて謎の「鬼」を目の当たりにして、恐ろしさを感じていた。


「私、あんな化け物初めて見たよ。怖かった〜。でもAちゃんはもっと幼い頃に会ってたんだよね?」


「まあね」


「かっこよかった」


こんな私でも守れる者がいる。


紗代の一言でAの胸の中がほわほわと温かくなる。


「ふふ、ありがとう」


「ほんとすごいよ。すごかった」




そこまで言って、紗代は思い出したように言った。


「さっきの化け物さ、あっちの方向から来たんだけど」


「えっ⋯⋯」


途端に柱の顔に戻ったA。


微かに血の匂いがする。


「ごめん、紗代さん。私様子見てくる」


「うん、気を付けてね」




家の外へ出ると、匂いが強くなっている。


(私が来る前に、既に誰かが犠牲になってしまったんだ⋯⋯)


後悔が募るのを抑え、全速力でそれを辿っていく。


とある家の前で立ち止まった。




「嘘」




Aはそこから動くことができなかった。





なぜなら。






そこに横たわっていたのは、紛れもない。


Aの父親だったからだ。

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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時

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