検索窓
今日:28 hit、昨日:9 hit、合計:8,587 hit

ある日のこと ページ1

時は大正⋯⋯







「鳥柱様ー!」


後方からの隠の声に、一人の女性が振り返る。




少しツリ目がちな鶯色の瞳は、ぱっちりと大きい。


後ろでお団子にまとめあげられた、青緑がかった黒髪。


長く上向きにカールしたまつ毛は、美より可愛さを感じさせる。


155cmと低身長ではあるが、それを感じさせない凛とした佇まい。


これこそが、朱雀Aである。


風に乗って刀を振り、軽やかな太刀で鬼を滅す、


鳥の呼吸を使う、鳥柱。





「どうしたんですか?」


「次の合同任務について、お館様からお話があるそうです」


返事を聞くや否や、Aは訝しげな表情を見せる。


それもそのはずだ。このようなお知らせは、鎹鴉が伝えること。隠の仕事ではない。


なぜ隠が動かなければならないのか。理由は、鴉にある。


「……もしや、またですか」


ため息をつくAに、隠の後藤は申し訳なさそうに頷く。


「はい。先程鳥柱様の鎹鴉が此方に来ましたので」


彼の手のひらから1羽の鴉-Aの鎹鴉・彩雲-がAへ向かって飛び立った。と思えば、「A、ドコダ?」と言いながら、また後藤の方へ戻ってしまう。


彩雲は優秀な鎹鴉ではあるが、とんでもない方向音痴だ。


Aの元へはたどり着かず、お気に入りの後藤の元へ行ってしまうことは、日常茶飯事である。


今まで重要な連絡が行き届かないことが何回あっただろうか。その度に他の隊士に迷惑をかけていた。


「すみません」


彩雲をそっと抱き上げ、一礼するA。


『柱の鎹鴉の癖に方向音痴』


他の隊士にそう思われるのはAにとって最も嫌なことである。


それでもAは、彩雲が大好きだった。


よく話し、前向きな意見をくれる、唯一無二のパートナー。


柱になるまでの苦しい鍛錬を乗り越えられたのは、明るい彩雲がいたからだ。


そしてその思いに答えるように、後藤も連絡を伝える役目を担うことを承諾してくれている。





⋯⋯毎度毎度柱の元に行かせんなよ、バカ鴉! と思っているのを隠しながらではあるが。





それでは、と短く挨拶をし、Aはお館様の元へ向かった。

鳥の呼吸→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 伊黒小芭内
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。