ある日のこと ページ1
時は大正⋯⋯
「鳥柱様ー!」
後方からの隠の声に、一人の女性が振り返る。
少しツリ目がちな鶯色の瞳は、ぱっちりと大きい。
後ろでお団子にまとめあげられた、青緑がかった黒髪。
長く上向きにカールしたまつ毛は、美より可愛さを感じさせる。
155cmと低身長ではあるが、それを感じさせない凛とした佇まい。
これこそが、朱雀Aである。
風に乗って刀を振り、軽やかな太刀で鬼を滅す、
鳥の呼吸を使う、鳥柱。
「どうしたんですか?」
「次の合同任務について、お館様からお話があるそうです」
返事を聞くや否や、Aは訝しげな表情を見せる。
それもそのはずだ。このようなお知らせは、鎹鴉が伝えること。隠の仕事ではない。
なぜ隠が動かなければならないのか。理由は、鴉にある。
「……もしや、またですか」
ため息をつくAに、隠の後藤は申し訳なさそうに頷く。
「はい。先程鳥柱様の鎹鴉が此方に来ましたので」
彼の手のひらから1羽の鴉-Aの鎹鴉・彩雲-がAへ向かって飛び立った。と思えば、「A、ドコダ?」と言いながら、また後藤の方へ戻ってしまう。
彩雲は優秀な鎹鴉ではあるが、とんでもない方向音痴だ。
Aの元へはたどり着かず、お気に入りの後藤の元へ行ってしまうことは、日常茶飯事である。
今まで重要な連絡が行き届かないことが何回あっただろうか。その度に他の隊士に迷惑をかけていた。
「すみません」
彩雲をそっと抱き上げ、一礼するA。
『柱の鎹鴉の癖に方向音痴』
他の隊士にそう思われるのはAにとって最も嫌なことである。
それでもAは、彩雲が大好きだった。
よく話し、前向きな意見をくれる、唯一無二のパートナー。
柱になるまでの苦しい鍛錬を乗り越えられたのは、明るい彩雲がいたからだ。
そしてその思いに答えるように、後藤も連絡を伝える役目を担うことを承諾してくれている。
⋯⋯毎度毎度柱の元に行かせんなよ、バカ鴉! と思っているのを隠しながらではあるが。
それでは、と短く挨拶をし、Aはお館様の元へ向かった。
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魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - Tenri.Tさん» コメントありがとうございます。ここではお答え出来ませんが、乞うご期待ください! (7月6日 7時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
Tenri.T - 夢主も大切な人を鬼に殺されたんですか? (7月3日 11時) (レス) id: f7528beaac (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - yurineさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていてください♡ (2023年3月12日 16時) (レス) id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
yurine(プロフ) - 続き気になります! (2023年3月12日 11時) (レス) @page4 id: 79b141f983 (このIDを非表示/違反報告)
魔凜芭(マリンバ)(プロフ) - ねこねこさん» コメントありがとうございます!おばみつ推しの方にとっては不快なストーリーになってしまうんですが、楽しんでいただけたら幸いです♬︎ (2023年3月7日 20時) (レス) @page1 id: 32919790da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔凜芭(マリンバ) x他1人 | 作成日時:2023年2月19日 14時