◇1:第三話 ページ5
何かふわふわとした物が全身を包んでいる
あたたかい
『…』
少しぼやけた世界
トクトクと鼓動が聞こえる
気を失っていたみたいだ
あの質問に答えてからどうやってここに来たのだろう
と疑問が頭に溢れる
ここに危険はないと断言はできないが
暖かいクッションに包まれ
今は落ち着いた思考が出来ているようだ
『…』
「おー……っと目が覚めてたんだねー」
『ぉわ…』
こちらを見下ろす金髪のガタイの良い男
隈が張り付いた顔に影が出来て、少し怖い
「大丈夫かい？」
『…うん…大丈夫だけど………君も誘拐されたの？』
「どうやらそうみたいなんだ……“君も”って事は君もそうみたいだね？」
『…そう…だね……』
誘拐犯を返り討ちに出来そうな目の前の男性でも
連れ去られてしまった事を考えると
私には到底太刀打ちは出来なかっただろう
まだ少し痛む頭に、深くクッションに沈み込む
未だこちらを覗く男を見つめながら静かな空間に少し聞き耳を立てると
人の声が微かに聞こえた
『……ん？……人って私達以外にいる？』
「あぁ、いるよ。よくわかったね」
『耳はいいからさ………合流した方がいいかな？』
「そうだね。何があるか分からない
ここは合流した方が危険はまだ少ないと思うよ」
『そうだよね……わかった』
少し怪しい見た目に反し、正論を言う
今起きている事を冷静に分析していた
壁に手をつき、体を支えながらクッションから立ち上がる
通路の先に行ってしまった男性の後を追った
，
，
『うっわ………』
だだっ広い謎の青い空間
夜空の綺麗な青とは違い、どこか不安になる青色だ
その空間には数人の男女が不安そうな顔をして佇んでいる
年齢はさまざま“小学生”ぐらいから“成人した大人”まで
さっきの金髪の男性は中心で話をしていた
『…何も行動しない方がいいかな…』
不気味な壁に背中をつけ膝を抱えて座った
あの“男”の事は一旦忘れよう
記憶を掘り返しただけで体が震える
「あの……大丈夫？」
『え？』
「顔色悪そうだけど…」
『……！』
いつの間に近くに来たのか
目の前にしゃがみ、こちらを覗き込む
赤いマフラーとニット帽を身につけた厚着の男性
彼の顔を見た途端、あの時と同じように。
，
_____…………だよ！きみと……よくなれそうな子さ_____
，
体が固まった
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きな粉もち猫(プロフ) - 伊豆花織さん» コメントありがとうございますぅぅ！！とても素晴らしい作品なんてとんでもないです……。腕に縒りをかけて書かせていただきます！ (10月24日 18時) (
レス) id: 8ffe08dcc0 (このIDを非表示/違反報告)
伊豆花織(プロフ) - とても素晴らしい作品に出会ってしまいました！私も月と星をテーマにキミガシネの作品を書いたため、この作品がどんな展開をして行くのかとても楽しみです！！“13人”との事なので主人公以外に誰がいるのかがとても気になります！ (10月24日 18時) (レス) @page6 id: 32bef120c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きな粉もち猫 | 作成日時：2023年10月21日 17時
