7. ページ9
No side
「問題ないってさ。真希も子供も」
真希達を運び込んだ総合病院の廊下。
ベンチに座る憂太に隣で立つ五条が言った。
「良かった…」
「何かスッキリしない顔だね」
五条の言葉に憂太は左手の薬指を見つめた。
そこには里香に貰った婚約指輪が収まっている。
「……初めて、自分から里香ちゃんを呼びました」
「そっか。一歩前進だね」
「少し、思い出したんです」
かつて、憂太は里香にずっといっしょだと約束した。
そしてそれは、呪いとなった。
「里香ちゃんが僕に呪いをかけたんじゃなくて、僕が里香ちゃんに呪いをかけたのかもしれません」
Aと同じように推測した憂太に五条は思わず薄く笑う。
「これは持論だけどね。愛ほど歪んだ呪いはないよ」
その言葉に憂太は決意したように左手を握った。
「先生、僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」
そう、真っ直ぐな目で宣言した。
五条の隣に立っていたAは憂太を見つめると何処か悲しそうな表情を浮かべる。
それを五条は見逃さなかった。
「あー、憂太。しばらくしたら真希復活して戻ってくるから一緒に伊地知の車で帰って来てよ。じゃ、ちょっと買い出し行ってくるねー」
「え?あっ、はい」
いきなりの話に戸惑う憂太をよそに五条はAを抱えて歩き出した。
「ちょっ何してるの馬鹿」
「お前が馬鹿だよ。憂太はさ、お前みたいにはならねーよ。考えすぎ」
「…口調」
「てゆーかさぁ、お前が考えてる愛と僕や憂太が言ってる愛は違う物だから」
「……意味わかんない」
不貞腐れたように言いながら早歩きになる五条。
そんな五条の腕の中で舌を噛まないように口を閉じたAも不貞腐れたようにジタバタと暴れた。
「うわっ、暴れるなよ」
「悟、私の台詞パクったでしょ」
「あ、バレた?」
__愛ほど歪んだ呪いはないよ。だから私は呪術師になったんだ。
Aの脳裏にかつて五条との会話が浮かぶ。
「あの時のAの台詞はかなり衝撃だったからね。普通喧嘩の最中にあんなこと言う?」
「呪術師に普通は通用しない」
「ははっ、正論だねぇ」
「…………ほんと大嫌い」
「酷いね」
「君の方が十分酷い」
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←6.
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小春日和 - 如月ナツキさん» コメント返すの遅くなりました!応援ありがとうございます!(* >ω<) (2022年4月3日 9時) (レス) id: 659926ff91 (このIDを非表示/違反報告)
如月ナツキ - ささっ失礼します))小春日和さんの新作とてもいいですね!(≧∇≦)b更新頑張って下さい!!応援しています!(*´▽`*) (2022年4月2日 2時) (レス) id: 2105fe2679 (このIDを非表示/違反報告)
猿集合 - 小春日和さん» わわ、嬉しいです!ありがとうございます!!長々とコメントをしてしまって申し訳ないです。愛が爆発してしまいました! (2022年3月31日 15時) (レス) id: f5527a80f8 (このIDを非表示/違反報告)
小春日和 - 猿集合さん» コメントありがとうございます!いっぱい大好きって言って頂いて嬉しいです!!私も猿集合さんの作品大好きです! (2022年3月30日 22時) (レス) @page3 id: 659926ff91 (このIDを非表示/違反報告)
猿集合 - コメント失礼します。小春日和さんが出している作品は全て拝見させて頂いています、ストーリー性や設定がとにかく大好きです。大好きすぎてやばいです夢主ちゃんの口調とかもう堪りませんね。応援してますこれから頑張ってください!! (2022年3月30日 16時) (レス) @page3 id: f5527a80f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小春日和 | 作成日時:2022年3月29日 11時