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「んで、どしたん？」
俺にできうる精一杯の優しい声でそう問いかけると
Aは一瞬こちらを見上げた後
バッ！と自らの顔を両手で覆った
…待てや、これなんか見たことある
とんでもなく嫌な予感がする。
『やばい！どしよう！推しと遊びに行くことになってしもた！』
嫌な予感は寸分の狂いもなく的中した
前回に比べると何倍も声量を抑えたおかげで
ホールに響き渡るようなことはなかったものの
俺の耳をキーンとさせるには十分で
先ほどまでの緊迫感漂う空気はどこへやら
「声でかいんやって！」と俺はAに抗議した
『やって、こんなんホンマに大事件やろ！？今までただ遠くから眺めているだけやったのに、ここ一週間くらいの間で実際に話せたり、連絡先交換したり、あろうことか…ふ…2人きりで、会うなんて！』
「ちょ、いい加減落ち着けって！腰を浮かすな！前のめりになるな！てかこんな話やったら俺じゃなくてもええやろ！」
先週事務所で猪狩くんと話せたこと
連絡先を交換したことはすでに
Aぇのメンバーには報告済みやった
ということは今回の件を相談する相手は
俺でなくてもよかったはずや
どちらかと言えば人に頼られてばかりのAが
唯一助けを求めることができたのが俺であるという事実が
かなり嬉しくて少し浮かれもしたが
そんな気持ちはもうとっくに消え失せた。
『何言ってるん！』
「はぁ？」
『元々は全て小島のせいやろ！？あの時HiHi Jetsに声掛けたりせんかったら！』
「おいおい、日本語間違ってるで、俺のお、か、げ、やろ？」
『うるさい！変人！』
「誰が変人や！猫かぶり！」
毎度のことのようにぎゃあぎゃあ言い争っていると
ふとAの視線が一瞬俺の背後の方に注がれ
次の瞬間にはこちらを殴ろうとして
グーにしていた両手がストンと下に落ちた
そんな反応を不審に思い俺も振り返れば原因はすぐ判明して
こちらから数メートルほど向こう
おそらくレッスン終わりであるHiHi Jetsがいた
視線を感じたのか、ゆっくりとこちらを向いた猪狩くんは
それはそれは穏やかに微笑んで小さく手を振った
…もちろん俺に対してじゃないで？
『っ〜！』
Aはというとあっという間に顔を真っ赤に染めて
これまた小さく手を振り返していた
「ガリさんいくよ」と瑞稀くんが言い
最後に俺へ向けてであろう会釈をして
猪狩くんの姿は見えなくなった
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なつき - めっちゃ、きゅんきゅんしました... 続きが楽しみです‼️ (2022年11月14日 16時) (
レス) @page47 id: b3c90329e2 (このIDを非表示/違反報告)
いがぐり - 猪狩くんもこじけんも大好きだから嬉しいです！最高な作品をありがとうございます！頑張ってください！ (2022年8月24日 23時) (レス) @page43 id: e918656c04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2022年5月28日 1時
