デートそれはつまり課金イベント ページ8
小島side
"どうしよ、小島助けて"
唐突にそんなメッセージが送られてきたのは今から一時間ほど前
単独雑誌の撮影から戻ってきたら
「なんか小島くんの携帯すごい鳴ってたよ」と言われて
楽屋に置いていた携帯を確認すると
Aからの不在着信が数件と先程のメッセージ
大抵のことは一人で解決してしまう可愛げのない女であるAが
こんな風に助けを求めてくるなんて珍しい
俺は急いでAにかけ直した
「おい、今どこや」
『事務所におる…』
「撮影終わったから今からそっち行くわ」
電話を切ったあと急いで支度をして事務所に向かった
いつもより少し静かなその声色だけでは
状況を察することは難しかったけど
今すぐに何かが起こってしまうような緊迫した雰囲気ではなさそう
ホールの一番端にある丸みの帯びたボックス席
いつも東京に仕事できた時Aが座ってる席や
いつもやったら他のAぇのメンバーもおるけど
今日は俺とAと誠也くんだけ
その誠也くんはドラマの撮影中
「A!」
駆け寄って名前を呼べば俯いていた彼女がゆっくりと顔を上げる
その顔に浮かぶのは不安の色で
眉を下げたAは無言で自分の隣の座面をトントンと叩いた
促されるままAの右隣に腰掛ける。
『来てくれてありがと、雑誌の撮影してたんやろ急がせてごめんなぁ』
「もう後は帰るだけやったしええよ、で、何があったん?」
本当は内心かなり焦っていて
顔を見た瞬間すぐにでも詰め寄りたかったけど
その行動が今のこの場面では得策でないことくらいは理解していた
俺が来る前に買っておいてくれたらしい
ペットボトルのお茶をありがたく受け取ると
Aは意を決したように一度大きく息を吐き出す
「…言いづらいんやったら無理に言わんでもええで?」
『いや、聞いて欲しいけん呼んだから大丈夫』
『あんな…』
『こんなこと初めてやけん、どうしたらえんかわからんで』
『でもこんなこと相談できるの、小島しかおらんくて」
斜め下を見つめながらそう話すAとは目は合わないけれど
俺のことを本当に信用してくれてるんやと思った。
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なつき - めっちゃ、きゅんきゅんしました... 続きが楽しみです‼️ (2022年11月14日 16時) (レス) @page47 id: b3c90329e2 (このIDを非表示/違反報告)
いがぐり - 猪狩くんもこじけんも大好きだから嬉しいです!最高な作品をありがとうございます!頑張ってください! (2022年8月24日 23時) (レス) @page43 id: e918656c04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみ | 作成日時:2022年5月28日 1時