今日も推しは顔がいい

"推し"から"好きな男"に ページ28

貴方side




小島のおかげで推しである猪狩くんと接点を持つことができて


その上あり得ないことに


恋人同士なんてものになってしまうまでのスピード感は


今思い返しても目が回ってしまうほどあっという間だった


猪狩くんが元々こうなることを計画していたと言っても


何ら疑いを持たずに信じてしまうくらいだ


でも彼いわく




「あの誕生日の日に初めてAちゃんのこと意識するようになったのは本当、まぁその前からずっと綺麗な人だとは思ってたけどね」




これを言われた時の私は声にもならない奇怪な音を


喉から絞り出してしまったことは言うまでもないと思う




「お前オタクの本性を見せてしまって引かれてないん？」

「なんぼ猪狩くんがええ子や言うても普通引くやろ」




メンバー達には会う度に心配されるが


私だって数か月間それをひた隠しにしてきた実績がある


たまに気を抜くと『顔が良い』『課金したい』『尊い』などという


ワードがあふれ出てしまうけど


その度猪狩くんはニコニコ笑って「ありがとう」と返してくれるので


まだセーフだと信じたい


私達は本当に良いお付き合いをしているなと自分でも思う


それどころか世間一般から見ても健全すぎるくらい


健全なお付き合いを続けている


まぁそれも当然と言えば当然のこと


だって彼はまだ20歳にもなっていない


私もまだ大学生ではあるけれどもう成人もしているので


自分の行動には責任を持たなけれがいけない年齢


そんな私が高校生とお付き合いをしているというだけでも


問題があるのに、それ以上のあれやこれなんて


とここまで必死に欲をかき消してきた


せめて彼が20歳になるまで


いや、そんなに長く彼が私のことを好きでいてくれる


保証なんてないけど


とりあえず今は常識ある大人として彼に接しようと心に決めた

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