愛の権利３＿skab

第137話 ab ページ44

佐久間と会った翌日にあたる今日。
YouTubeは、事務所のスタジオスペースでの撮影だった。
何時かは分からないけど俺とめめのあれが流れる日だから、テレビ局みたいに色んな人がいる場所じゃないことにちょっと安心する。
だってさすがに自分のディープキスしてるところが世の中に晒された直後に堂々と人前を歩くって、結構勇気がいると思う。

それを回避できたのと、あと。
メンバーがいた方がディープキスの振りって言うのは信じてもらいやすいかなって思う。
周りが同意してくれたら人間なんとなくそんな気がしてくると言うか。
変に一人で考え込まれたりもしないだろうし。


なんてずるいこと考えながら、収録を終えて撮影スペースを後にする。
事務所だから楽屋とは呼ばないけど、荷物を置いている部屋があるから、そこへ皆で戻る。


「いやぁ、シナリオは完璧やった。」
「でもあそこのリアクションもっと大きくても良くなかった？」
「あー、あれでしょ、康二が最初ボケた時の俺らの。」
「そうそう。」


ドラマ班は真剣に反省会、なのかな。
収録の時のこと話しながら歩いてる。

俺は一人で歩きながら、スタジオスペースから見えた時計が知らせていた時刻を思い出す。
収録が押してまあまあな時間になってたはずだから、もう俺とめめのは流れてんのかな。
この後スマホ見るの、なんだかんだでやっぱりちょっと怖いかも。
なんて、結局弱気な自分がひょっこり現れるから厄介だ。


「翔太、この後飯行かね？」
「別に良いけど。」


ふっかと翔太がこの後の約束をしたり、それぞれ他愛も無いことを話している。
そんな中、俺は何よりもまずスマホを確認するため自分の鞄の方へ向かう。

けどその時、ドアをノックする音が聞こえて、反射的に振り返った。

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