愛の権利３＿skab

第105話 ab ページ12

結局ファンの子達はまだ微妙に意見の違いはあれど、めめの幸せを願うことが一番、って結論に落ち着いたらしく。
報道から二週間程たった現在においては、めめが選んだ相手なら祝福する、というのがＳＮＳにおける主流な意見らしい。
という訳で俺がネットで叩かれることも大分減った。


仕事はめめとペアになったり、立ち位置が横になったりすることが増えた。
増えたと言ってもまだ二週間だし、この報道の前から企画されてたものがほとんどだから、全部が全部では無いけどね。
でも急遽変えたんだろうなってものがチラホラ。
そしてそういうものを感じれば感じる程、俺らをセットで売り出そうと様々な力が働いてしまっていることを実感して、溜め息は増えるばかりだった。



特に毎月載せてもらってるアイドル雑誌なんかはやっぱりファンの子の意識に寄り添ってる、と言うべきなのかな。
全員白いシャツを羽織って、それを濡らされ、ペアでの撮影なんだけど。
勿論とばかりに俺とめめは組まれていて。



「よろしくお願いします。」


スタジオに着けば俺が仰向けに寝て、それにめめが乗っかるよう言われる。
所謂押し倒した状態、ってやつ。


「なんか変な感じ。」
「そうだね。」


こそこそめめと話す。
プロジェクトの前も一緒に寝そべるとか、肩を寄せ合うとかはあったけど、押し倒される、まではあんまり無かった気がする。
まあ、意図は明らかだけど。
周りのスタッフさん達はお似合いだの普段を見ちゃった気分だの言って盛り上げようとしてくれてるけど、ね。
俺とめめは内心苦笑いするしかない。


「そうそう、目黒くん、阿部くんの首にもっと唇寄せる感じで。」
「視線こっちに。
あ、いい、色っぽい！」
「はい、お互い見つめ合ったままおでこくっつけて。」

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