愛の権利３＿skab

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「ごちそうさまでしたー！」
「御馳走様でした。」


ぽかぽかの体と気持ちのまま、阿部ちゃんと並んで店を出た。


「今日はありがとう。
帰ったら練習頑張れそう。」


小さくガッツポーズ作ってるとこも可愛い。


「なんか分かんなくなったらいつでも電話ちょうだい。
俺多分アニメ見て夜中まで起きてるし。」
「それで寝坊しないでよ？」


首を傾げて可愛く注意される。
ああ、俺が滝沢くんみたいな大人な余裕で阿部ちゃんを包むのはまだまだ無理か。
これでも一つ上なんだけどな。


「じゃあ俺あっちの駅使うから行くね。
佐久間はそっちの方が近いでしょ？」


そうか、このラーメン屋、二つの駅の間だから阿部ちゃんと帰りバラバラだった。


「うん、じゃあおやすみ。
無理し過ぎちゃだめだよ。」
「ちょっと心配なとこもあるけど、出来る限り頑張ってみる。
おやすみ。」


くるりと阿部ちゃんが背中を向けた。
その背中と、心配という阿部ちゃんの零した本音に、なんだかぐわってなった。
言葉では表せないけど、でもなんかなったんだよ。


「阿部ちゃんっ、」
「へ？」


がしりと、気付いたら細い手首を捕まえてた。


「帰したくない。」
「えっと、」
「このまま阿部ちゃんのこと帰せない。」
「よく分かんないけど、俺練習が、」


突然こんなこと言い出した俺に阿部ちゃんはすっごい戸惑ってた。
そりゃそうか。


「阿部ちゃんに元気が無い時、傍にいたい。
ううん、傍にいるだけじゃなくて幸せにしたい。」
「気持ちは嬉しいけど…。」
「ダンスの練習だって何時間でも付き合うよ。」
「佐久間…？」


阿部ちゃんが困ったような顔で首を傾げる。


「俺、阿部ちゃんが好き。
阿部ちゃんが悲しい時助けるのも幸せにするのも、阿部ちゃんが嬉しい時一緒に笑うのも、全部俺がいい。
今も、それからこれからも、傍にいるの、俺じゃ駄目かな。」


阿部ちゃんはぽかんとしてた顔をしてたけど、気持ちよ伝われ！と思ってじっと見つめる。

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