番外編:愛が微笑んでいた頃 ページ6
「あーべちゃん!」
ずずーんとした空気を背負った目の前の頭に声をかける。
そうすればのそりと顔を上げられて、綺麗な形の目がこちらを見る。
「飯食って帰ろ!」
「ごめん、今日はちょっと。」
申し訳無さそうに言うと、また阿部ちゃんは帰りの支度をもそもそする。
「分かってるって。
帰ってから家で練習する気なんでしょ。」
今日のレッスンで阿部ちゃんは先生にめちゃくちゃ怒られてた。
元々阿部ちゃんはじっくり振りを覚えるタイプで。
なんだけどバックにつく先輩達のコンサート、急にいくつも演出が変わったもんだから先生も俺らに急いで覚えさせんのに熱くなっちゃって。
そりゃまあ俺らはメインの先輩達より速く覚えてなきゃいけないからね。
だから先生の気持ちも分からなくないけど。
でも好きな子が落ち込んでたら、それはそれで気になるわけで。
「うん、そういう訳だからご飯はまた今度。」
「だーめ。
この後練習すんならちゃんと体力回復しないと。」
「うん、まあ家にあるもん適当に食べるし。」
「はいだめー。
それがだめ!
最近見つけた美味いラーメン屋があるから、そこ行こ。」
「ええ…。」
困惑した顔されたけど、うん、やっぱりこのままなんて帰せない。
「さくっと、ね。」
「うーん。」
「だめ?
この後の練習のためだよ?」
「…分かった。」
「よし、じゃあ決まり!」
こんな時、俺が滝沢くんとかならなぁ、とふと思う。
滝沢くんならタクシーで個室のおしゃれなとこ行って、大人な感じで相談とか聞くんだろうなあ。
俺じゃ一緒にスタジオから歩いてラーメン屋さん行くのが精一杯。
それがちょっと情けないけど、でも阿部ちゃんが来てくれるって言うから、俺がうじうじしてる場合じゃない。
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葉子(プロフ) - ゆきのさん» この音声が公開される日はあるのか否か…、ですが、この事務所なら切り貼りしかねないですよねぇ!どうやってこの沼から脱出するのか、誰がその一歩を踏み出すのか、ぜひ見届けていただけたら嬉しいです! (2021年2月6日 22時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» この小説で何度目だ!?と突っ込みが来そうな展開で申し訳ありません(汗)相変わらず可哀想なあべさんです…。さくまさん視点更新しますね…! (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» 忘れずにいてくださったことに感謝です…!下書きが最近あまり進まないのですが、こんなに長い丁寧なコメントいただけたので、すごく励みになりました!頑張ります! (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» ーの助けはあると良いですよね。事務所側にも完全に陥れられている状態なので…。さて、mmさんがどう振る舞うか、iwsk、iwfkがどうなるのかは、さすがに愛の権利4で明かしたいところです!後者二つは最近mmab案件で完全に放置しているも同然な扱いですみません…!最早 (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - みなみさん» 文明の進化ってある意味厄介なところありますよね、リアルでも。と、思っている機械音痴な私です…!今までのことも譲るのが1万歩だったことに思わず笑ってしまいました(笑)そんなに譲歩してくださるとはある意味お優しい!(笑)確かにこれだけ泥沼化しているのでメンバ (2021年2月6日 21時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉子 | 作成日時:2021年1月17日 0時