第92話 ab ページ43
ねえ佐久間、俺、やっぱり全然大丈夫じゃないかもしれない。
声が、震えそう。
「ただいま。」
どうにか決められたセリフを言えば、めめの手が近付いてきて、俺の顎に添えられた。
佐久間とキスする時は、よく頬に手を添えて、優しく包んでくれてた。
そんなことまで今更思い出して、どうしようもなく苦しくなる。
顎に添えられた手が、そっと俺の顔を上に向かせる。
佐久間とは、俺の方が身長高かったから、下向くことが多くて。
そんな些細な違いさえ、胸がぎゅうっと、締め付けられる。
ドクンドクンと、心臓の嫌な音も感じる。
それから全部が妙に、スローに感じられた。
めめと、視線が絡まる。
その、俺を見る目一つとってもそう。
丸くて、大きくて、でもそれがそっと伏せられていくのが綺麗で、大好きだった。
そんな思考を遮断して、覚悟を決めるように目を閉じれば、そっと唇が重なる。
その感触の違いにも、全部全部、涙が込み上げそうだった。
資料の通り、ちょっと長めに重ねられたそれを。
どちらからともなく、ゆっくりと離す。
「…部屋、入ろっか。
あっためてあるから。」
「、うん。」
肩を抱かれて部屋に入る。
めめが靴を脱ぐのに続こうとしたけど。
パタンとドアが閉まった音がした途端、ずるずるとしゃがみこんでいた。
「阿部ちゃん、大丈夫？
ごめん、俺、」
「めめは悪くない。
悪くない。
…でもごめん、涙の止め方、分かんなくなっちゃった。」
めめとは何の問題も無く生活出来たし、お互いにキスも仕事と割り切るしか無いと思ってた。
でもめめの一つ一つに佐久間が思い出されて。
めめの何が悪いとか、そんなことじゃなくて。
佐久間といた一つ一つが、あんまりにも大切で、大好きだったって、こんな時に思い知るから。
すごく苦しくて、どうして良いか分からなかった。
「めめ、ごめんね。
こんなの、困るよね。」
「俺は大丈夫。」
一緒にしゃがんで、頭を撫でられる。
「大丈夫だけど、阿部ちゃんが泣いてるの見ると、今頃寂しがり屋なアイツも泣いてんのかなって。
それだけは、心配になるかな。」
そう言われて、泣きやまなきゃいけないのに。
康二のことまで思い出したら、余計に涙が止まらなかった。
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葉子(プロフ) - みなみさん» 今回はnbさんに活躍していただきましたー！とは言えfkさんは相変わらず自己犠牲の人なので、スタンス変わらずですが…。fkさんを甘やかせるのはやっぱりiwさんなんでしょうねぇ…。もうすぐ移行するので、次こそ幸せにしたいところです…！ (2021年1月16日 23時) (
レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - (名前)vividさん» んへも愛の権利フィルターをつけていただいて（笑）向井さんが阿部さんに当たり強いの良いですよねぇ…（！？）そろそろ移行しそうですが、引き続きお付き合いいただけたら嬉しいですー！ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - (名前)vividさん» リアルが過ぎるだなんて恐れ多いですが、そんな風に言っていただけるのは書き手冥利に尽きます…！そしてこのお話の後にそれスノ見てくださったんですね。あべさんのVTR中さくまさんほんと全肯定で楽しそうでしたよねぇ。気持ち隠せてない、すごく同意です（笑）向井さ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» んなに暗いままのテンションで100話いくなあと思ってしまいましたが、やっぱりかおる様からのコメントの力が大きいんだろうなと思わずにはいられません。誰からの反応もなく永遠にこのテンションだといよいよヤバい奴になりそうなので（笑）本当に感謝しています！ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» 騒がせ小説になっていて申し訳ありません…！でもそのコメントが可愛くて思わず笑ってしまった私です（笑）ゆり組はまだ大丈夫でした！そしてもうすぐ100話！気付いてくださってありがとうございますー！そうなんです、初めて100話にいこうとしています…。よくもまあこ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉子
| 作成日時：2021年1月4日 22時
