第77話 ab ページ28
「…あの、でも、待ってください。」
働かない頭で、震える手は握りしめて、どうにか言葉を絞り出す。
「数ヶ月で二組も出たら、またかと飽きられたり、変に思われたりしませんか。
さすがに売名が露骨過ぎじゃ、」
「え、阿部くんはグループが売れるために頑張ることをテストの佐久間くん達に押し付けるの？
そこは本命として目黒くんと愛を見せつけて世間を納得させなきゃ。」
押し付ける。
その言葉が、あまりにも重くて。
反論したいのに、言葉がそれ以上見つからない。
助けが欲しくて思い浮かぶのはメンバーの顔で。
…康二。
あんなに俺のこと、助けてくれたのに。
あんなにめめのこと、想ってたのに。
俺は、その康二の幸せまで台無しにしようとしてる存在だってこと？
そう気付いて、ゾッとする。
そうだ、俺と佐久間だけじゃない。
この地獄みたいなプロジェクトは、どんどん俺らを蝕んでいく。
「話題性の面では問題無いよ。
今回は写真を撮る時、キスしてもらうから。」
「っ、俺と目黒が、ですか。」
「他に誰がいるの。」
冷ややかに笑われる。
「綺麗に撮ってもらえるように、条件を満たした同棲用のマンションも用意してるから安心してよ。
そういうわけだからすぐ引っ越し準備ね。
あと今日から人とプライベートで会うのはやめて。
阿部くんはもう、目黒くんといることが幸せ、なんだから。」
はい、だなんて言いたくなかった。
言えなかった。
でも嫌ですと事務所のことをはねのける程の力も、持ち合わせてはいなかった。
「目黒くんには明日の午前中、ソロでの仕事終わりに話すから。
メンバーについては、その日の夜に全員で雑誌の企画打ち合わせみたいな予定入ってなかった？
それがここでのことだから。
まだ誰にも伝えないように。
じゃあ、期待してるよ。」
ぽん、と肩を叩いてその場にいた人達が出て行った。
それを見送ったマネージャーさんが、こちらへ来る。
「お伝えしてましたよね、阿部さん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葉子(プロフ) - みなみさん» 今回はnbさんに活躍していただきましたー！とは言えfkさんは相変わらず自己犠牲の人なので、スタンス変わらずですが…。fkさんを甘やかせるのはやっぱりiwさんなんでしょうねぇ…。もうすぐ移行するので、次こそ幸せにしたいところです…！ (2021年1月16日 23時) (
レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - (名前)vividさん» んへも愛の権利フィルターをつけていただいて（笑）向井さんが阿部さんに当たり強いの良いですよねぇ…（！？）そろそろ移行しそうですが、引き続きお付き合いいただけたら嬉しいですー！ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - (名前)vividさん» リアルが過ぎるだなんて恐れ多いですが、そんな風に言っていただけるのは書き手冥利に尽きます…！そしてこのお話の後にそれスノ見てくださったんですね。あべさんのVTR中さくまさんほんと全肯定で楽しそうでしたよねぇ。気持ち隠せてない、すごく同意です（笑）向井さ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» んなに暗いままのテンションで100話いくなあと思ってしまいましたが、やっぱりかおる様からのコメントの力が大きいんだろうなと思わずにはいられません。誰からの反応もなく永遠にこのテンションだといよいよヤバい奴になりそうなので（笑）本当に感謝しています！ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» 騒がせ小説になっていて申し訳ありません…！でもそのコメントが可愛くて思わず笑ってしまった私です（笑）ゆり組はまだ大丈夫でした！そしてもうすぐ100話！気付いてくださってありがとうございますー！そうなんです、初めて100話にいこうとしています…。よくもまあこ (2021年1月16日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葉子
| 作成日時：2021年1月4日 22時
