課題9 ページ10
「……怒ってたなありゃ」
「……」
生徒らの対応で疲れた体を職員室で休ませていた。一つ空いて隣の宇髄が宙を見つめながら言った。
「珍しいなあいつが怒んの」
「……」
「地味に無視すんなよ」
「……何かしただろうか」
「あ?」
「嘉柳が怒るようなことをしてしまったのか……?……分からないな」
「……え?お前……マジで言ってる?」
宇髄は床を蹴って椅子ごと近寄ってきた。
「んー……?」
「なんだ?」
まじまじと俺の顔を見つめる宇髄。……と思ったら、ガクリと首と肩を落とした。
「あーそうだった……お前もそういう奴だった……派手に忘れてたぜ……」
「何のことだ?」
「ん〜……いや、多分そのうち分かると思うぜ。帰ったら聞いてみりゃあいいだろ」
「しかし……」
その時、扉がガラッと開いた。
「!嘉柳」
「……おー煉獄」
『……、すまない!次の授業の準備があるから先に行く!』
自席から資料などを取ってそのまま出て行ってしまった。
「……どーしちまったのかねぇ」
「……」
俺はただ、嘉柳が出て行った扉を見ていた。
あの顔は……久しぶりに見たな。
よもや、前に見たのはいつだっただろうか……
「お前は行かなくていいのか?」
「!」
時計を見ると授業開始5分前。
焦りながら用意していたものを持って教室に向かった。
その途中で、嘉柳が言っていた"授業の準備"は嘘だったのかと、悶々と考えていた。
「?珍しいですね、煉獄先生がチャイムと同時に入ってくるの」
「うむ!今日は少し忙しくてな!さて、前回の続きからだが──────」
授業中も、あの顔が脳裏にチラついた。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月29日 9時